≪五節;軍略の破綻―――撤退へ・・・≫

 

 

〔こうして裁きは下されたのです―――

 

・・・が、しかし―――〕

 

――う・・・うわわ〜〜〜っ!!――

 

将:むん?どうしたのだ―――

将:うむ、行ってみよう―――

 

将:―――あっ!ヨミ殿!!

将:おいお前! これはどういうことなのだ!!

 

カ:ああ〜〜〜いや―――・・・

  わ、私がこれからの戦略を、ヨミ殿と話し合おうとして、

  ヨミ殿とここに出向いたとき―――いきなり何者かの影が・・・!!

 

将:―――なんだと・・・

 

将:おいっ―――!こっちに来てみろ、ここにはヨキ殿が!!

将:おおお〜〜・・・・

将:なんたることだ―――ヨキ殿まで・・・。

 

 

〔何者かが叫ぶ声がするので、准将たちがそこに集まってみれば、

そこには胴と首が分かたれたヴェネフィックの兄と、大量の失血で亡くなっていたヴェネフィックの妹がいたのでした。

 

そのことに諸将は、一緒にこの現場にいたカインを怪しみはしたのですが・・・

彼の云うには、これからの戦の仕様を如何にせん―――ということを話し合うためにこの場所に来たとき、

いきなり不明なる影に襲われ、遭難をした―――と語ったのです。

 

 

すると、この騒ぎを聞きつけてきたかのように、この人物が―――・・・〕

 

 

ギ:―――どうしたのだ。

 

将:ああ―――これはギャラハット殿・・・いえ、実は―――

ギ:なんと―――お二人が亡くなられたか。

 

将:はあ・・・それに、現場にはカイン殿しか・・・

 

カ:あああ〜〜〜なんたることだ―――・・・

  われらは 東征 を行う、主軸たる二つの大きな柱を失った!!

 

  私ではどうすることも出来ない―――アレだけ、ここベルルーイを奪取するのに手間取らされたのに、

  他の三つもの砦をどうやって攻略したらいい―――?

 

  それに、諸君らにはここを護りきれる自信がおありか―――??!

 

ギ:黙らっしゃい―――! 確かに、このお二方が亡くなられたのは大きな損失だが、

  幸いなことには向こうには知れ渡っておらぬはず。

 

  ・・・ふむ、よし―――では、諸将たちにはこれまで通りにしてもらいましょう。

  努々(ゆめゆめ)、お二方が亡くなられた事を、敵方に知られてはなりませぬぞ。

 

 

将:で―――ですが・・・しかし・・・

将:そうですとも―――お二人はヴェクサンシオンにて相手を翻弄させてから攻めるのが常套・・・

将:それと同じ事を、我らか出来ようはずが―――・・・

 

ギ:ふぅむ・・・ならばやはり、相手に感付かれぬよう退く必要があるな―――

  第一、ここは兵站線の確保もなっておらぬからな・・・

 

  カイン殿―――ここはこの兄妹の次に、見識のあるそなたの意見を訊こう・・・

  いかがいたすればよろしいか―――

 

 

〔この騒ぎを聞きつけてきた者こそ、カインたちの仲間である ギャラハット=シャー=ザンフィル なのでした。

 

すると、そこでカインは予(かね)てからの計画通り、大仰に声を荒げながらこの二人の死を悼む格好を見せ、

それをギャラハットが咎める―――と、したのでした。

 

すると・・・この二人の絶妙な芝居が功を奏したのか、そこに集まった准将たちも見事に欺けられ、

誰一人として、ヒヅメとカインの手によりヨキ・ヨミの兄妹が落命をした―――と、疑う者すらいなかったのです。

 

 

そして―――ギャラハットが下した決断とは、

グレスゴーニュとエルランドに駐在するリリアたちに気取られぬよう振舞う・・・と、云うことだったのですが、

既に諸将たちの間には、その気概すら見られるところではなく、

“攻め”のカードを失ったということで、消極的なところを見抜かれてはいけないとしたギャラハットは、

かの兄妹の次に知恵のあるカインに質したところ、彼からは徐々に撤退をしてみてはどうか・・・との案が出され、

そのときもし、リリアたちが気づけばギャラハットが迎え撃つ指揮を執る―――としたのでした。

 

 

しかし―――そう・・・じつはここまでが、カインがはじき出した今回の計略・・・

そして、これからも起こるであろう事も、もれなく外すことなく読みきった上での、完璧なる謀略なのでした。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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