≪二節;次なる策略≫
〔しかし―――婀陀那がイセリアに会いに来たというのは、
何も賛辞を述べるためだけにそうしたのではなく・・・〕
イ:―――ところで・・・そろそろ本題に入っていただきましょう。
婀:うむ―――・・・
此度の戦役により、あの方面の戦線は維持できた。
この勝利はまことに小さきモノではあるが、これでしばらくはカ・ルマも慎重にならざるを得まい・・・
と―――ここまでは妾も、タケル殿も見解が一致しておる事・・・。
そこでじゃ―――妾は、東が静まった今こそ、あの事をなそうと考えておる。
イ:・・・しかしその懸案、タケル殿やアヱカ様はどう捉えておいででしょうか。
婀:・・・タケル殿ならば、おそらくは首を縦に振ってもらえるであろう・・・
が―――姫君は十中の十、縦には振ってはくれまいて。
何よりもあの方は、国を亡くすることがどうあるのか、身に沁みておることじゃし・・・な。
イ:―――と、なると・・・ここはやはり私が、かの地へと赴かねばなりませんか・・・。
婀:慎重にやられよ―――此度の外交は、一見すると簡単なようには見えまするが・・・
イ:“そう”だと思われると長引きかねない―――
しかもあの国の連中は、臆病なばかりで、人を疑うしか能がございませんから。
そこのところは良く心得ています。
―――それでは・・・
〔婀陀那とイセリアがやり取りした それ こそが、“本題”―――・・・。
ここ数日、カ・ルマからの侵攻があった東方が、リリアたちの手により鎮圧された事で、
一応は収まりを見せた・・・
しかし、一時は侵攻を止めたとあっても、体勢が整え直されれば、また南下しないとも限らない・・・と、し、
今のこの機会を逃すことなく、ある政策に乗り出そう―――と、していたのです。
それこそは・・・ハイネス・ブルグの併合―――
でも、それは同時に、また一つの“列強”が亡くなっていくことを意味し、
そのことを悲しむ人物がいる―――・・・
しかも、それが人知れず、自分たちが=盟主=と仰いでいる人物だったらばどうだろう・・・
そのことを案じ、コトを露骨強引に推し進めるのではなく、
またかの国にも気取られないように、緩やかなモノをして策の推進に乗り出したのです。〕