≪五節;雪月花放逐―――その代償≫

 

 

〔けれども、それは誰の眼にも『間接的占領策』に映るため、

あえて婀陀那は慎重にするべし―――と云い含んだのです。

 

そして思惑通り、この国の官が騒ぎ出したため、

そこを畳み掛けるように、またしてもイセリアが放った言葉とは―――・・〕

 

 

イ:・・・確かに、諸卿らがそう捉えるのも、無理らしからぬところでしょう―――

  が・・・ならば、あなた方が此度より故国を護るために傷つき、血を流されますか?

 

官:――――・・・。

官:――――・・・。

 

イ:―――出来るはずがないでしょう?

  何しろあなた方は、自身が傷つく事を何よりも恐れ、

  長らくの間、この国を支えていた私たち三人ですら、戦地へと飛ばし、これを切り棄てた―――・・・

  そしてあなたたちは・・・こんな奥まった平和なところで、堂々と脾肉を嘆じている・・・

 

  それでも―――何か意見がございますのならば、影でこそこそ・・・と、ではなく、

  今ここで、はっきりと申し上げていただきましょう―――!!

 

 

〔そう―――今更ながら申すまでもなく、この国の男たちは堕落をしていました。

何よりも自分自身を可愛がり、自身の保身のためならば、婦女子ですら戦地へと赴かせた・・・

それでも“雪月花”の三人は、元々から職業軍人だったために、そんなことは当てはまらないという意見もあったのでしょうが―――

 

何よりも彼らは、コトあるごとに自分たちを痛罵するキライのあった、彼女たちの事を疎ましがり、

あることを機会に王都から前線へと追いやった―――

 

これを不当そのものと感じていた、クー・ナの降将である二人の提案の下、

雪月花の三人ともフ国へと亡命し、

今・・・ここに五人ともフ国の将官として現れた・・・

 

雪月花を王都ハイレリヒカイトより追い出したのは、

初めの内では官僚の間では良策だとも思われていたのですが、

今こうして 意趣返し のごとくの政策で返され、

実は愚にもつかない、下策中の下策・・・だったことが知れたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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