≪四節;知ったる仲≫
〔こうして、新たに作戦の練り直しを迫られたキリエは、
ヒと、新たに紫苑を加えて策を慮(おもんばか)るのです。〕
紫:フフフ・・・それにしても、まさかこんなところで、お互いが出くわす事になろうとは。
世間とは案外狭いものですね・・・キリエさん。
ヒ:(お?)おお?? あんたら―――知り合いなのか?
キ:ええ―――ほんの少し前・・・ある処で、ね。
しかし、援軍の用兵がただならぬ采配だとは伺っていましたが、
それがあなただったとは―――
実は、今回の指示を出し終えると、私のほうから訪問する予定でしたのに・・・
そちらのほうから来て頂けるとは思いもよりませんでした。
改めて、不敬の念に値するモノであり、ここに謝意を述べる次第でございます。
紫:いえ、そのことならばもうよろしいです。
それより―――此度ばかりではなく、以前にもカ・ルマ軍を撃退させたようですが、
それはこちらの虎将の活躍からなのでしょうか。
ヒ:へ?あ・・・オ、オレ―――?
いやぁ〜オレはあんまし大した活躍してなくて―――
むしろ活躍したのは、“蒼龍の騎士”・・・
ド☆ゲシィ―――!
ヒ:ふんごぉ―――□×○☆・・・・
紫:―――は?
キ:あら、ヤダ―――どうしたの?ベイガン・・・(ぐりぐり〜)
ヒ:(いて〜―――よ、イテ〜〜―――よ、司馬殿ぉ〜〜!)
キ:(あんたねぇ〜・・・私の正体バラして、私をここにいさせなくなるつもり??)
ヒ:(だ―――だってよぉ〜〜・・・)
紫:―――そういえば、“蒼龍の騎士”のことを、此度の戦役に参加していた将のお一人が云っていましたが・・・
何者の事なのでしょう―――?
キ:(ほらぁ〜〜・・・)
さ、さあ―――私のところにも、正体不明の者としか・・・
それが奇妙な事に、都合よくカ・ルマの兵しか襲わない・・・と云うんですよ。
本当に、何者なんですかね〜〜―――(あはは・・)
紫:ふぅ〜ん・・・都合よく―――ですか・・・本当にそうですね。
願わくば、その存在の眼がこちらに向く事がないことを望むばかりですね。
ヒ:いやぁ―――そりゃねえと思うぜ?
ゲシ―――ゲシっ―――☆
ヒ:あギャ―――※§仝〒・・・
キ:(余計なこと喋んな〜バガァ〜〜!)
紫:―――はあ??
キ:ああ〜〜いえ・・・こちらのことでして―――
ベイガンのほうも、あの存在も気まぐれだから今後一切出ないだろう・・・と、云っているんですよ〜〜
紫:ああ―――そうなのですか・・・
〔紫苑とキリエの初見は、実はここではなく―――以前アヱカがいたこともある『夜の街』でした。
しかし、そのことをヒが知る由もなく、また彼女たちも回顧録に花を咲かせるわけでもなく・・・
ただ、紫苑がそこで訊いてみたのは、件の“蒼龍の騎士”のこと―――
半身だけが人型をしている、異形の騎士の活躍ぶりは、グランデル戦役に参加をしていた他州の公からも賞賛を受けており、
ですが・・・その正体は杳(よう)として知られていなかったのです。
そこへいくと、ガク州司馬のキリエと、准将のヒは、
どこか彼の者について知っている風にも見えたものだったのです。〕