≪五節;授けられた政策≫
〔蟄居を命ぜられていたはずの諫議大夫が、その期限を待たずして王都に現れたことに、
諸官達は色めき立ち、中には重大なる違約であることを、仄めかす者もいたようなのです。
―――が・・・
そこは、タケルより指南された通り、シャクラディアに篭っている間、政策を練っていたものであるとして、
その場で披露するに至ったのです。
それこそは、新たなる人事―――アヱカ自身が、以前から治めていたガク州・・・
そこの 公 を、誰がするのか―――と、それによる州丞タケルの解任―――
また、それと同時に、彼を正式にフ国の 中軍師 に推す事で、これからの軍の行動に従事させる事。
それと、ヴェルノアとの外交を頻繁に行い、これから必要となってくるであろう軍需物資や、
食料などの支援を行ってもらうことを、その場で申し述べたのです。
そのことを、尚書令であるイセリアと共に、聞いていた婀陀那は―――・・・〕
婀:ふうむ・・・フフフ―――なるほど、諫議大夫殿の申し分も一理ある・・・。
それでは、妾の直筆をもってヴェルノアの公主に親書を送り、承諾を得ることといたしましょう。
ア:・・・ありがとうございます―――
婀:それにしても―――新たにガク州の公に、紫苑をお勧めになるとは・・・
あやつの主である妾にとっては嬉しい限りではありますが、あまり過分な期待はせぬほうが・・・
ア:―――いえ、あの方ならきっとやり遂げてくれるものと信じております。
それに、紫苑卿におかれましては、軍の用兵にも優れた能力をお持ちであるとか・・・
何も、私の如き、州の農政―――その一転を重視するだけの能無しとは違います。
婀:・・・そこまで、ご自分を云い貶められるな―――
ア:(ぐぐっ・・)です―――
イ:以上の献策は、録尚書事様が取り上げられたのを機に、効力を発するものであります。
これに異論のある者―――または代替案を用意されている方があれば、今のこの場にて披露されてください。
―――おりませんのですね・・・それでは、政策の論議はこれまでとします。
追っての指示は尚書台より出ますので、皆様方にはよろしく留意しおかれて、各行動へと取り掛かられてください。
〔それこそは、まさに目を見張るような政策の展望でした。
国の内政だけにとどまらず、近年国交を回復した諸外国との外交政策の披露・・・
そのことに、諸百官たちは、この小さな女性が、
ただ悠久の館に閉じこもっていただけではなかった事を感じるのでした。〕