≪四節;ザハトムンスク評定≫
〔―――ともあれ、どうやらノブシゲとチカラが、ここに来たというのも、タケルよりの要請があったからのようで、
話し合うというのも、これからある侵攻戦が主題のようです。〕
ノ:まあそれにしても、それがしのところでも侵攻はあったが―――
チ:はっきり申しまして、敵方の戦力を甘く見積もりすぎていました・・・。
タ:だが―――第一波を防ぎきったというのは・・・
ノ:それがなぁ・・・不思議なことに、蒼い龍の騎士が・・・
婀:なんと―――? 『蒼龍の騎士』とな?
ノ:はあ―――・・・将軍閣下はご存知なので?
婀:うむ・・・いや、直接には知らぬが、以前よりあるガク州の侵攻戦では、
度々その存在が確認されておったそうじゃ。
確か―――そうでありましたな、キリエ殿。
キ:はい、そのようで―――
チ:“そのようで”とは、いかなることで?
キ:はい。
実は・・・私自身も直接に見たことではありませんので、はっきりとは申せぬのですが、
私の准将が見たのには、確かにそのような存在を見た―――と・・・
タ:そして、カ・ルマ兵のみを薙ぎ払った・・・と。
キ:そのようです。
そして、おそらくそちらの戦場に現れたのも―――
チ:ただひとつ―――不可解なのは、その異形の騎士は、まったく手前どもの兵には見向きもしていなかった・・・
ノ:いかにも、まるであそこで激戦があるのを知っていたかのように、
突如として現れ、去っていった―――・・・
婀:ふぅむ・・・確かに奇譚ではあるが、果たして次回も期待できるものなのであろうか。
ノ:・・・判りません。
ですが、お恥ずかしいことに、半分期待をしている一面もあるにはあるのです。
〔まづ最初に、そこでは少し前にあったラージャでの侵攻の一場面が語られたのです。
その話題の中心には、件の 蒼龍の騎士 のことが・・・
この異形の騎士が、フ国はガク州と、隣国であるラージャの戦場に現れ、
また同様の行動を起こして去った―――
そのことを、一部では頼りにする声も上がったものなのでした。
それからは―――・・・〕
タ:それでは、こちらから提案させてもらうに、次回にそちらであるようならば、
こちらからも軍隊を派遣して支援したいと思うのだが・・・どうであろうか。
ノ:ふぅむ―――・・・『気持ちだけはありがたく取っておこう』・・・と、以前ならばそう返していたところだが、
あの一戦限りで、カ・ルマの戦力が知れてしまった・・・
ここは、いらざる意地を捨てて、よろしく助けを乞うのが賢明というものであろう。
タ:・・・お前にしては、またずいぶんと気弱な発言だな―――
ノ:・・・気弱にも、なるさ・・・。
それがしの―――ラージャの練兵は、ヴェルノアのそれにも劣らぬものと自負していたものを・・・
婀:それでも敵わじ―――と・・・?
チ:はあ・・・それで、練兵の制度を壱から見直し、鍛え上げているものなのですが、
それもどこまで通用するのやら・・・
〔そしてこれよりは、ラージャにまで侵略の魔手を伸ばしてきたカ・ルマに対抗せんがため、
これ以降、ラージャであるだろうと予測される戦の支援をすることを、
この場で取り決めたのです。〕