≪二節;“霊廟”にて―――≫
〔所変わって―――ここは、ラージャのイシミ地方にある“霊廟”の一つ・・・
そしてここには、十四年前にその生を終え、安らかにその遺体を眠らせている存在が・・・
では、その人物とは―――?
十四年前・・・かつてこの国に生を受け、当時“女禍の魂を受け継ぐ者”として、
国の官民を問わず慕われていた・・・
そして・・・義弟である、タケル=典厩=シノーラの愛を、一身に受けていた存在・・・
ジィルガ=式部=シノーラ
・・・その人物が眠る場所―――
そんな場所に、何者かが侵入し―――〕
ラ:―――こちら・・・異常はないわ。
サ:そう・・・それにしても不気味な処ね。
―――さっさとこんな任務終わらせないと・・・
バ:そうね・・・
それにしても、なんだか妙だわ―――
ラ:・・・どうしたの―――
バ:・・・なんだか、今回標的である人が祀られている場所―――
他の誰よりも・・・そう、云うなれば、この国の王族の連中よりも大切にされているかのような・・・
サ:・・・それは―――やはり、その人が伝説の人の魂を〜〜って、ことなんじゃないの?
バ:―――それだけかしら・・・
サ:何よ、ノゾミ―――あなたらしくもない・・・
バ:私は―――ただ、女性一人を祀るにしては、通路は幾重にも入り組んでいるし、
この壁にあるヒエログリフだってそう・・・そんな云われの人物であるにしても、妥当じゃない―――って云いたいのよ。
サ:確かに―――・・・この墳墓全体の造りにしてもそうだし、特にこの区画の構造なんて、
近くにある王族のものよりか高度に感じるわ・・・。
ラ:それじゃあ・・・何? これからあたしたちが奪おうとするジィルガ―――って人物の遺骸・・・
ピ―――ッ ピ――――ッ ピ―――ッ
バ:―――はい。
ビ:>どうかしたのか・・・遅いようだが、何か問題でも発生したのかな。<
バ:いえ―――ちょっとこの霊廟の攻略に手間取っているだけです。
ビ:>そうか・・・ならば良い。
まあ、何か問題でも発生したなら、そのツールの赤いボタンを押せばよいからな。<
バ:はい―――かしこまりました、任務を続行いたします・・・。
・・・ぐずぐずしてられないわね、急ぐわよ。
〔この・・・亡き、タケルの義姉であるジィルガの霊廟に足を踏み入れていたのは、
以前、フ国にて=禽=たちと邂逅のあった、あの三人なのでした。
その三人が、この霊廟に侵入をし、なにかをなそうとしていた―――・・・
でも、その前に、苦戦をしていたのは、意外にも難度の高い、迷宮のようなこの霊廟の構造に―――・・・
それが、譬(たと)え、伝説上の人物の魂を受け継いでいたとしても、
一介の人間の骸(むくろ)を祀る場所にしては、大仰だったことに驚きを隠せなかったのです。
それは・・・この国の王族の、そのどれよりも難解であったことと―――
一人の人間である前に、一国の王ではない、官がそれ以上の厚遇をされているのも、
彼女たち三人にしてみれば、理解しがたいことだったのです。
―――と、そこへ・・・定時の連絡を促せるかのような音に、
ツールの回線を開いてみれば、それはあのビューネイの声であり、
やはり彼女たちは、かの者から何かしらの使命を帯びて、この霊廟に足を踏み入れていたのです。〕