≪四節;勝利の雄叫び≫
〔場面は一転し―――あの死合いに、ようやく決着がつき・・・〕
婀:おお―――タケル殿!!
タ:(ふう〜ふうぅ〜〜)・・・・勝っ―――た・・・
勝ちましたぞ・・・義姉上・・・ようやく、あなた様の仇を、討ちましたぞ―――!!!
〔“ぼとり〜”と、地に落ちたのは、魔将の馘でした。
―――とはいえ、実は、結果は火を見るより明らかだったのです。
それというのも、いくら無限の体力を誇っているとはいえ、
ザルエラの繰り出す攻撃は、総てタケルの 晄盾(こうじゅん) によって、その尽(ことごと)くを防がれており、
逆に微々たるながらも、ザルエラはタケルからの攻撃を受けてしまっていたのです。
そして、相手の疲労が一気に山場まで達したのを見計らい、渾身の力を込めたタケルの一撃が、
ザルエラの馘筋を襲った―――・・・
憎々しいまでの相手・・・義姉の仇である魔将の馘と胴体は、永遠に別れることとなったのです。
それは―――こちらも同様に・・・
指揮者を失ったカ・ルマ軍は脆くも崩れ去り、
華々しく散って逝く者や、降伏をする者など後を絶たなかったのです。
つまり、ここにまた一つ、七魔将の一角とその軍が、事実上瓦解したことになったのですが・・・〕
キ:ん゛〜〜もうっ―――! なんてことをしてくれたの!!
あいつを逃してしまったじゃない!
ヒ:ぁあ〜〜? そいつはこっちの台詞だろがよ―――
ガク州の司馬であるあんたは、奥のほうに引っ込んで、堂々と構えてりゃいいんだい!
キ:なによっ―――それ!! 私を能無しの将の一人にしたいわけ?!!
ヒ:そこまで云ってやしねぇだろうがよ!
―――っったくぅ・・・こっちの身にもなってくれよ、キリエさんよぉ・・・
キ:―――なにが・・・(む゛すぅ〜)
ヒ:あんたが強いのはな―――このオレが知ってんだから。
なのに、あんただけ武を示して・・・それじゃあオレはどうすりゃいいんだい―――
キ:・・・ベイガン―――
ヒ:それによ―――あんたのマネをするわけじゃねぇが・・・オレは自分に誓ったんだ。
もう二度と、あんたをあいつにならせねぇように―――ってなぁ・・・
だぁ〜から、このオレが、あんた並みの実力も名もつけなくちゃならねぇんだよ。
そこへいくと、今回のヤツは丁度良かったんだがなぁ―――・・・
キ:・・・そうだったの―――すまないことをしちゃったわね・・・
ヒ:―――ま、いいやい。
今回がダメでも次があらぁな、だから次こそは邪魔すんじゃねぇぞう?
〔不器用・・・それこそは不器用と云ったものだったでしょうか。
ザルエラ率いる彼の軍は、事実上瓦解したものの、彼の准将をキリエとヒは逃してしまい、
そのことについて互いを責めていたのでしたが・・・
“彼”も“彼女”も、互いを良く知るがゆえに、一線を引いていた―――
キリエにしてみれば、もう 蒼龍 になれない以上は、人間の姿を保ちながら戦を推し進めるのは至難の業・・・
そこのところをヒは判っており、だったら自分が奮起しなければならないということで、
ザルエラ准将・ダンダークの馘を狙ったとしたのです。
その理由の如何を聞くに及び、キリエは・・・どこか遠い昔においてきたある感情を、
取り戻せた感覚に陥っていたものだったのです。〕