≪四節;呼び出したる者と呼ばれし者≫
〔そして―――数刻後には、ウェオブリの城正門前に、白衣を着た男女一組が現れ、
そこの門番と云い合いになりもしたのですが・・・
するとそこへ、シャクラディア方面から一台の馬車が到着し―――〕
ア:―――いかがなされたのでしょうか。
兵:ああ、これは大傅様―――今、シャクラディアよりお帰りでございますか。
ア:・・・ところで、その者達は―――
兵:ええ、それがどうも、この者達が云うには、ウェオブリの官の誰かに招聘を受けたと・・・
〔アヱカがシャクラディアより戻ってきたとき、ウェオブリ城の正門前では、
ここの門番兵と白衣の男女が云い争っており、
何の理由でそうなっているのかを訊いたとき、門番の兵士は、
いかにも怪しい者を招聘する官など、おりはしないというのですが・・・
しばらく互いを見つめ合っていた、大傅と医師とその助手は、
言葉こそ交し合いはしなかったのですが―――〕
ア:・・・あなたたちがそうなのですね、よくきてくれました。
さあ、こちらに・・・
兵:あっ―――大傅様?? このような身分の低い者達を・・・
ア:門番の方も、お勤めご苦労でしたね。
けれど、今は一刻をも争うのです。
〔医師と助手が初めてアヱカを見たとき、かつて彼らが仕えたある方の面影をアヱカに見ました・・・
気の遠くなるような過去に―――彼ら二人が仕えていたお方・・・
容姿は全く違うのに、雰囲気やしぐさなどがどことなく似通っていた・・・
その瞬間―――何かに気付く医師・ヘライトス。
自分たちが受けた指令は、その・・・かつてお仕えしていたお方の居城でもあるシャクラディア―――
そこで出されていたものであることと、
このアヱカという、ウェオブリの一官吏が戻ってきたのもシャクラディアからだという・・・
シャクラディアから――――??
その地名は、かつての古代皇朝が開かれ、その中心として大いに栄えたところでもあるというのに・・・
そういえば、ここ最近ある噂を耳にしたことがある―――
近年においては“ドルメン”として知られ、学術的にも価値のある場所だとされてきている・・・
そのはずなのに、何者かが手を加えて居住としたという、根も葉もない噂が立ち、
よくない行いをする者がいるものだ―――と、思っていた・・・
その矢先に、言葉通りシャクラディアから戻ってきたとするのならば―――
ヘライトスは、慎重に、馬車の中でアヱカのことを探ろうとしました。〕
へ:・・・あの、もしかするとあなたが―――
ア:わたくしが、あなたがたを今回招聘した、フ国の大傅であるアヱカ=ラー=ガラドリエルと申す者です。
ですが・・・あなた方の思っている、それ以上の者ではございませんので、なにとぞそこのところはよしなに・・・。
時に―――あなた方は名医であると、わたくしの知り合いの方から聞かされたのですが・・・
それが本当ならば、ある方の病状を診ていただきたいのです。
〔この者の、どこも着飾っていない様子―――
その様子が、どことなく自分たちに宛てられた文面と似ていた・・・
口先だけではない、簡略されても暖か味のある、心の・・・気持ちのこもったその言葉に、
ヘライトスもソシアルも、たった一つだけの真実を見分けました。
そうだ・・・この方こそが、今回私たちの招聘をし、これからの私たちの主となられるお方―――
そして、馬車の中で、今回招聘された理由となるところの、現国王の病状を聞かされたとき―――・・・〕