≪七節;オペラティオン≫
〔そして、いよいよ術式の開始―――・・・〕
へ:―――これより術式の開始をする。
今回は定石に倣って腹部を切開したあと、患部と思われる胃に達し、病巣である胃の全摘出を行うものである。
―――メス・・・鉗子・・・(ふぅむ―――見事な癌細胞だ・・・この大きさなら、他に転移していると見なければならないな・・・)・・・
・・・患部を摘出、あとは閉腹して縫合―――・・・
〔的確にして迅速―――あらかじめ施術に必要な小道具である刃物を取り揃え、消毒し、
その遣り様に関しても、小道具を自在に操り、瞬く間に患部に到達したあとは、
すでに末期まで進行していた病巣を看るにいたり、ある危惧をしたのです。
―――とは云え、ここまで悪くなった患部を放っておくということもないので、
胃を全て摘出し終えたあとは、また元のように腹を閉め糸で縫合したのです。
所要時間一刻あまり―――施術を須らく終わらせ、部屋から出てきた医師を・・・〕
リ:おお―――終わったのですか・・・?
へ:義理のお母さんですね。
手術は無事成功しました。 けれども未だ予断は許されません。
リ:なぜ―――・・・手術というものが成功したのであれば、ヒョウ殿は助かるのではないのか?
へ:確かに―――悪性の腫瘍があった胃は、全部取り除かせていただきましたが、
残念なことにアレは末期のものでした・・・つまり―――
ア:・・・どこか他の臓腑へと転移していると見なければならない・・・そうおっしゃるのですか。
へ:―――はい・・・
幸い今回のは、死に至らしめる直前のものを取り除いただけですので、
一時的に生命の猶予を延ばしたに過ぎない―――と・・・
それに、このあとも今回のと同様の手術をするのは、医師として勧められるものではありません。
リ:なぜ―――どうして・・・今回のでヒョウ殿の生命が延ばせられたというのであれば、
次も同じようなことが・・・
ア:リジュ―――それはおそらく無理というものだろう・・・
リ:アヱカ殿・・・なぜにそのような―――
ア:おそらく・・・ヒョウ様の体力が持たない・・・。
―――ところで先生、ヒョウ様の・・・国王様の生命の猶予は、長く持ってあとどのくらいなのでしょうか。
へ:“長くて”―――ですか・・・
ここははっきりと申し上げておきましょう、あの方の命は、長く持ってあと―――・・・
〔淫蕩三昧を限りまで尽くした現フ国王は、その行為が崇り、死の床に就かれたのですが・・・
奇跡の施術を行使する者の手により、今日か明日かとさえ云われた彼の生命は、
その危篤から脱して、何とか余生を紡げるまでになったのです。
―――とは云え・・・その猶予も、限られた時間であることを、
医師は、家族や親しき者に伝えたのでした・・・。〕
To be continued・・・・