≪六節;憤慨の“月”≫
〔そして四名はウェオブリへと着き、颯爽とイセリアに会わんとしたところ―――・・・〕
リ:―――イセリア! これは一体どういうこと?!!
イ:―――あら、来たようですわね。
リ:『来たようですわね』・・・ぢゃないわよぅ! 全く―――涼しい顔をしてくれちゃってぇっ!!
イ:・・・この子、なにをこんなに憤っているのデスメタル?
セ:イセリア―――それはないと思うんだけど・・・
イ:けれど・・・公主様のお相手は、男性でなくてはならないはず―――
あの方一人では・・・ましてや、同性である者では、後の世に子孫が残せませんからね。
リ:そうだったとしてもっ―――!!
どうしてそのことを私に相談してくれなかったのよぅ~~・・・
イ:―――したじゃないですか・・・今回。
リ:“事後”ではなくて“事前”によっ―――!!
イ:・・・どちらにしても反対したのでしょうに。
―――まあ、それはよいとして・・・気にはなりません?そのお相手の方・・・
ギ:―――しかし~~あの方と釣り合うの・・・って、この国にいたっけか?
セ:もしいたとしても―――・・・
ミ:相当な苦労は強いられるでしょう・・・な。
リ:あ゛あ゛ん~~私が男の人ならよかったのにぃ~~―――・・・(さめざめ)
〔仲間であるイセリアを見つけると、早速怒鳴り声一つ―――
どうしてこうなることの前に、自分に知らせてくれなかったのか―――と、リリアは食って掛かったようなのですが、
当のイセリアは涼しい顔をして、リリアからの手厳しい追及をかわしていったのです。
ですが・・・未だ、その“お相手”の正体までは公表されてはいないはずなのに、
どこかで知っているかのように、この四人の前で語ったイセリア・・・
すると―――・・・〕
セ:ええっ?!先生が―――?
ミ:“先生”? 知っているのですか、その―――・・・
セ:ええ・・・タケル先生は、私の兄さんと同じく厭世をして野に下った人物・・・
そのことがきっかけとなって、よく世の道理とかを教えてもらったことがあって・・・
そう―――だったの・・・婀陀那様のご婚約の相手・・・って―――
ギ:―――ところでリリア殿は・・・
セ:あっ・・・あの子ったら―――
イ:まあ、その方の人となりがどうあるかは、直接会ってみればよいまでのこと・・・
それに、私もただそのことを知らせるためだけに、あなたたちを呼び寄せたわけではないのよ。
〔次に驚きの声を上げたのはセシルでした。
―――と、いうのも、イセリアが予測特定した、公主意中の人物こそ、
セシルにしてみれば恩師も同然の存在であった―――・・・
賢兄と同じくらいの異性の人―――そう、ここでもタケルのことを好く者が・・・
けれども、リリアよりは慕情の念が少ないからか、すぐに諦めきれた様子。
―――と、すると・・・このことを聞くなり、リリアはそこからいなくなってしまったようですが・・・
イセリアも、こんな―――文面で伝えればよいことを、わざわざ呼び寄せてまで・・・と、した理由を、
その本当の旨を彼らに語りだしたのです。〕