≪三節;動静≫

 

 

〔そして、今までにナゾであった、この者達の素性が明らかに――――・・・・〕

 

 

婀:(婀陀那=ナタラージャ=ヴェルノア;23歳;列強一の軍事力を誇るヴェルノア公国の、第一王位継承者)

  さぁて―――こうはしておれぬ、この旨を早速フ国のショウ王に、したためておかねばのぅ。

 

紫:(紫苑=ヴァーユ=コーデリア;26歳;上記の婀陀那の良き理解者にして懐刀的存在、今現在はアヱカ姫のお目付け役も兼ねている。)

  公主様―――・・・。

 

  (この方は―――・・・変わられた・・・特に、あの姫君と会われて以来――――

  こんなにも生き生きとした表情は、故国を抜け出られた時以来だ―――・・・

 

  私も、いま少しばかり、この方のなす事に準じてみるか―――・・・)

 

  それでは―――私めは、これからいかがいたしましょうか―――?

 

婀:ぅん? これから・・・??

  何を言うておるか、お主はこれから姫君のお手伝いをするのであろうが―――・・・

 

紫:あっ!! そうだった・・・そうでした・・・つい、うっかりしておりました。

 

婀:フフフ――――・・・・しっかりとたのむぞ、紫苑。

  妾は、これより文章を練らねばならぬからな、それが書き終わり次第、ウェオブリに赴いてもらう事になろう。

 

紫:はは――――っ、かしこまりました。

  それでは、これより準待機をしております。

 

 

〔こうして―――― 今まさに、ここに歴史が・・・・時が動かんとしていたのです。

 

王位継承者とはいえ、何一つ自由にならない母国を飛び出し、自分の側近とともに流れ着いた、ならず者達の巣食う町「夜ノ街」。

 

そこで彼女達は、気の向くままに行動をし――― そして気がつけば・・・・・

自分達はこのギルドの盗賊どもを、手足の如く動かせられる存在となっていたのです。

 

でも、かの亡国の姫君とお会いになってからは、今までの毒気が抜けたかのように、清々しい表情になっていたのです。

 

 

それであるが故に―――・・・前述したように、姫君を自分達の主と頂く事や、盗賊ギルドの解体・・・・そして、機を見てのフ国への参入など――――

これらを話している最中の婀陀那の表情は、それはそれは、清々しくも活き活きとしていたのです。

 

ですが―――この、『盗賊ギルドの解体』という事は、今までに盗賊家業を生業としてきた者達にしてみれば「寝耳に水」であり―――

しかも、この時の、この二人の秘事を、傍耳を立てて聴いていた者がいるのを、婀陀那と紫苑は、知る由などなかったのです――――・・・。

 

 

それはさておき――――

先に婀陀那の部屋を出たアヱカ姫は、炊き出しの食材をそろえるために、街中を歩いていたところ、

ある一人の人物と出会っていたのです―――・・・。〕

 

 

誰:あのぉ〜〜〜・・・・もし?

 

ア:(アヱカ=ラー=ガラドリエル;22歳;元テ・ラ国の姫君であり、今の世の「女禍の魂」を引き継ぐ人物(とはいえ、未だ本人は無自覚)

  はい―――あら? あの・・・どちら様で?

 

誰:どうも・・・私は、小間物屋「キリエ堂」の店主、キリエ・・・・と、申しますじゃ。

 

ア:(キリエ堂―――)えっ? すると、お婆さん、あなたがあのお店の主なのです?

 

キ:えぇ〜〜そうでございますよ・・・このような婆で、ビックリなさいましたか?

ア:え・・・あ――― は、はい。

  あ・・・す、済みません・・・お気を悪くなされましたか?

 

キ:いえいえ・・・中々に素直で、よろしゅうございますよ。

 

 

〔その人物とは、以前に立ち寄った事のある―――「キリエ堂」・・・そこの店主でもある老婆キリエが、アエカ姫に会いに来たというのです。

 

なぜなのでしょう?  それは――――〕

 

 

ア:あの、せ・・・先立っては、お店の大事な売り品を落としてしまいまして・・・真に申し訳のないことを、してしまいました・・・。

キ:いえ、いいんですよ・・・。

  それより、うちのがとんでもなく失礼な事をやらかしたようで・・・・こちらこそ、申し訳なく思っております。

 

ア:そうですか・・・。

  実はわたくしも、急にあのような事をされましたので―――それで、少し頭に血が上ってしまって・・・

  少し言い過ぎました―――と、あのお若い代理の方に、申し上げておいて下さい。

 

キ:・・・・いや、いいんですよ・・・・。

  あの時は、あなたのなさり様が正しかったんだ・・・。

 

  それを―――なぜか急に態度を変えてしまった、あのバカに非があったのさ―――・・・。

 

ア:(え―――?) は・・・はあ・・・。

 

 

〔それはどうやら、自分の姪か孫に当たる若い代理の者の不祥事の謝罪のために、店主であるこの老婆が直々に赴いてきたところのようです。

 

ですが――――・・・

 

この時アヱカ姫は、少しばかり奇妙に感じられたのです。

 

なぜなら―――今のこの老婆は、あたかも「そこにいたかのような」、思わせぶりな発言をしたのだから―――・・・。

 

 

でも、いくら深く考えても、どうしてこの老婆があの時の事を克明に知りえたか―――の、点と点は線に結びつけることはできなかったのです。

 

そう・・・・彼女が「同一人物」でない限りは――――・・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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