≪五節;静かなる・・・怒り≫
―― ザ ザシュン〜 ――
ガ:うぐぁあっ―――!
マ:ああ゛っ―――!!
ぼとっ ぼとっ
ぶじゅぅぅ・・・
ア:ああっ―――!!
タ:・・・感謝をするがよい―――
今、主上よりの嘆願がなければ、その身を等しく分かつところであった・・・
婀:(静か・・・何という静かな怒り―――
表面上には現れてはいなくとも、妾にはひしと感ずる・・・
おそらくタケル殿は、その気になりさえすれば、自我を抑えぬ術を持ち合わせておる―――
なのに・・・敢えてそうしないというのは、“自我”というものを須らく知っておるから・・・。
妾は倖せ者よ―――そのような方に娶られることとなるのじゃからな・・・)
〔対極にある二つの刃が、男の腕を―――そして同じく女の足を奪ったのを見て、
思わず顔を覆ってしまったアヱカ・・・
タケルも、寸でのところでアヱカからの嘆願が耳に届いていなければ、
この二人の胴体を二分していた・・・と、云うのですが。
しかし、それでも彼らは―――〕
ガ:(ググッ・・・グググ――)フフ・・・血迷ったか、清廉の騎士―――
マ:(ググッ・・・グググ――)あたいたちは、すでに一度死んだ身・・・そんな者に情けをかけようなど―――!!
ガ:・・・そなたが我らを滅せられぬのであれば―――
マ:あたいたちがお前を滅したあと、姫サマを弑するまで・・・
イ:―――あっ!あれは・・・
セ:先生と録尚書事様に、諫議大夫様・・・それに、あの二人は―――
リ:そ、それより―――あの人の持っている武器・・・先ほど私と渡り合ったときには、一度も見せていなかったのに・・・
〔身体の一部が欠けても、立ち上がってくる者―――
それはすでに、生命の紡ぎが終わってしまっているからこそ、なしえられたものであり・・・
彼らに課せられた任務―――その終了をもってしなければ、魂の開放はなされない・・・
そうだとも思われたのですが―――
すると、ここで“雪月花”の三人が、この異常を突き止め、現場に駆けつけたところ、
狼藉者二人と、先ほどには見せなかった、ある男の携えたる得物の、真の姿を垣間見ることとなったのでした。〕