<第八十一章;時代(とき)の道標(みちしるべ)(伍)>
≪一節;捻じ曲げられた情報≫
〔未明に・・・城内へ侵入した賊は、国の要人を殺害する前に、
“忠義の士”と共に、相打ちになれり―――
後日、要人の命を救った者達の御霊(みたま)を鎮めるため、
その場には『忠烈義魂の碑』が、その要人の手によって建立されたのでした。
そして―――今、その要人がその碑の前で手を合わせ、
“魂鎮め”を行っているようです。〕
ア:(・・・ガムラ、マサラ―――お前たちがあの時、アヱカをその魂を賭して護ってくれなければ、
今の私たちはなかっただろう・・・。
それにしても・・・一度、役目を終えた命の灯火を、強制的に甦らせるなんて・・・。
そんな、世の理(ことわり)からも外れるようなことを―――・・・
・・・ここはやはり、私が暴走を止めなければならないのか――)
〔その要人こそ、アヱカであり・・・また女禍様なのでした。
それに、今回のカ・ルマの遣り様には、憤りすら感じていたようで、
改めてこのような暴走を食い止めなければならない―――との、
決意を新たにしたのです。〕