≪四節;思わぬ報せ≫
リ:―――失礼!
イ:あら、リリア・・・(もう立ち直ったの―――)
セ:あら? あなたは・・・確か―――
タ:これはハミルトン殿、いつぞやはご助力いただき、ありがたく存じます。
婀:―――して、此度はナニ用で・・・
カ:至急ですので、形式は省かせていただきます。
なにやら・・・急に東方が遽(あわただ)しくなってきまして―――
タ:なるほど、それはおそらく ゲルド のことですな。
カ:おお―――さすがに耳が早い・・・もう知っておいでのようですな。
タ:いえ、まだ少し小耳に挟んだ程度だったのですが・・・
ハミルトン殿の慌てぶりから察するに、
その砦がジン州城からも確認が取れるほど構築されている・・・と。
カ:―――その通りです。
〔その部屋にいる者達は、皆一様にして、情報の収集・認識・推測の速度に定評のある、
一人の巨漢に、宛(さなが)らにして驚嘆していました。
しかも、正確性においても的を得ており、だからこそジン州公は意見を求めにきた・・・のですが。〕
タ:・・・ハミルトン殿にはお世話になっていながら、まこと申し訳ないのですが―――
カ:協力は・・・適(かな)わじ―――と。
タ:はい・・・。
残念なことに、現国王様の容態は、予断を許さない状態になりつつあります。
明日か―――今日かすらも知れないときに、軍を動かすというのはいかがなものでしょう。
カ:そんなに・・・厳しいのですか―――
・・・・判りました、ならばこちらで―――
〔図らずも、その申し出は断られました。
ですが、その理由の如何(いかん)を質(ただ)してみれば、
フ国の最重要人物である、現国王のヒョウの容態が予断を許さなくなっており、
そんなときに、大切な兵士や将官を失いかねない戦をするというのも、
“理”に適(かな)わなかったところでもあったのです。
そのことを、いち早く理解したハミルトンは、是非もないこと・・・と、
一旦諦めはしたのですが―――・・・〕
リ:―――待って、一つの州の危機が迫っているというのに、
何も見殺しをすることなんかないと思うわ。
タ:リリア殿・・・そうは云いますが―――
リ:・・・だったら―――こういうのはどう?
〔しかし、そこで口を挟むような格好となったのは、ハミルトンに同行し、
再びこの場に現れたリリアなのでした。〕