≪二節;アヱカ・・・その真摯なる怒り≫
官:全く―――・・・あなた様もお感じでございましょうに。
時流はすでにフ国に非(あら)ズして、然るべくもう一つの大勢力の下に導かれつつある・・・
この国は、ホウ様が跡目を継いだものの、先代のヒョウ様の悪評まで受け継がれては、
そう先も長くありますまい・・・。
そのことは、今ここにいるほとんどの諸官が感じていること。
早い時期に、どなたか今の王家と取って代わらないと、傀儡国家の代表として知られる、
ハイネスブルグのようになってしまいますぞ。
それにしても・・・王の威信が地に墜ちる前に亡くなられたのは、せめてもの助けですかなぁ。
〔王が早世したことは、時流に逆らったことではなかったけれども、
国のためには良かったことだ―――と、ある官はそう述べました。
けれども・・・それは、ヒョウの覚悟していたことを、踏まえて述べられたものではなく・・・
つまりは、このことが結果として―――〕
ア:何だと・・・お前ぇ―――
―――・・・あなた方に、なにが判ろうというのです!
ヒョウ様は・・・この国を誰よりも愛し、その行く先を案じておられた・・・
そして、誰よりも民たちの倖せを願っておられたのです!
なのに・・・それなのに―――・・・(ポロポロ・・)
このような不名誉ななされようも、ある意味ご自身の命脈を存じていらした・・・
だからこそ―――!
ご自身の命を削ってまで、名を貶めようとすることに、手をお染になるしかなかったのです!!
〔アヱカは・・・知っていました―――
ヒョウが“必要悪”に徹しようとする“覚悟”を―――・・・
それは、アヱカのみにとどまらず、リジュもホウもイセリアも婀陀那も・・・
ヒョウの心の内を知る者達は、心得ていたことであり、
官位の高い自分たちの発言が、これからの国政を動かす上での支障になるであろうコトを、
よく知りえた上で、口をつぐんでいたことだったのです・・・・が。
アヱカは、それであるにも係わらずに、その官吏に対して非難の言葉を浴びせたのです。〕