≪四節;大事を受け継ぐ者の心境≫
〔こうして―――継王・ホウが在位して、一年と経たないうち・・・
凡(おおよ)そ11ヶ月あまりをして、フ国国家は総ての国権を返上、
新たに・・・シャクラディア城の主である、 アヱカ=ラー=ガラドリエル が、
その国権を譲り受けたのです。〕
ア:・・・もうよろしいです、あなた方の願いは、万事聞き届けましたから、
どうか頭(こうべ)をお上げください―――
ホ:はい・・・新しき王がそう申されるのであれば―――
ア:(・・・。)
―――タケル、この方たちを一時休息させたあと、ウェオブリへと護送して差し上げなさい。
そして―――全国民に知らしめるよう、掲示を持って通達、
この一週間の後、戴冠の儀を行うものとする。
タ:はっ―――
・・・して、他の地域にはいかようにして。
ア:そこは君に任せる、早馬なり、一両日をして知らしめるよう、使いの者を飛ばせてもかまわない。
それまで・・・私はここを動かない、色々とやらなければならないことがあるからね・・・。
リ:・・・“古(いにし)えの皇”であられた方も、そのような苦労はおありでしたか―――
ア:“古(いにし)えの皇”―――だったからこそ・・・なのかも知れない。
まだ、一地方の州公をやっていた時期が懐かしい・・・
上に立つ者は、その贅沢な生活を赦される反面、
それだけの重い責任を果たさなければならない・・・
それよりも、あなた方は、これから一般庶民と同じ生活をしてもらうことになるのだけれど・・・
しばらくの間、辛抱をしていただけないだろうか―――
〔そこで・・・元、フ国王であった者と、太后であった者は頷き、しばらくの休息をとったあと、
馬車に揺られながら・・・元・フ国のチ州に構えている、グラシャス家の屋敷へと戻っていったのです。〕