≪二節;“朝議”―――政策選択の場にて・・・≫
〔それに・・・その態度は、その日の朝議にも現れていたのです。〕
イ:それでは、これより朝議を執り行いたいと思います。
・・・が、その前に、女皇陛下よりのお言葉があるそうです。
ア:それでは、この場を借りて―――
この度、私が催した官吏の登用適正試験に、国家という枠組みを超えて参加してもらえたコトに、
私は感謝の念に堪えないところです。
当初は、私のほうでもこんなにも多くの方々が、私の提唱することに賛同してくれるものとは及びもしなかった・・・
口では綺麗事を述べていても、その実、行動が伴わないことも追々にして出てくるものだとは思う、
けれども、なるべく私自身の理念は曲げずに貫きたいと思っている。
これからも、各々の職務を全うして戴きたい。
〔そこには、色々な国々―――アヱカの下にいたフ国の官もいれば、
周辺の列強である “ヴェルノア” “クーナ” “ハイネスブルグ” “ラージャ” の人間も垣間見れたのです。
それに、そのお言葉通り、それは強制されてではなく、自主的に行動に移された結果であり、
その顔ぶれを見ても、きちんとした国家の下では、上級官吏にすえてもおかしくはない者たちばかりだったのです。
そして―――そこには、新しい皇国の、新しい官吏による最初の朝議が開かれたのですが・・・
その中身は、これが最初とは思えないほどの充実振りを見せ、
政策の提案を述べる官の口も軽やかであれば、それに決済を施す女皇の手並みも、
まるで立て板に水を流すかの如く―――だったのです。
それを見ていた葵と茜は、アヱカとともに女皇の部屋に戻る道中・・・〕
葵:驚きました―――陛下は、政治の手腕についても優れておいでなのですね。
ア:いや、そんなことはないよ―――・・・
私は、どちらかといえば今回は何もしていない。
ただ、皆から提案された政策に眼を通し、その場その時に応じて最も適合しているものを択べば、
それで事足りただけのことだ・・・。
実際に、今回提案された政策にしても、発起人であるイセリアさんや婀陀那さん・・・果ては、
ハミルトンさんのモノを見ると、どれもこれも充実して見えてくる。
こういうのは、統治者泣かせ・・・と、云ってもいいくらいのものだよね。
〔今回の朝議は、まさしく嬉しいほうの統治者泣かせでした。
それというのも、充実した政策内容の数々・・・
一体誰のモノを択んでも遜色しない―――
甲の提案を択べば、乙の提案を破棄しなければならない・・・
どちらの提案もよくて、片方を破棄しなければならないとするのは実に忍びない・・・
そういった苦悩をした挙句、今回の女皇は異例とも取れる、二人の官の提案の、
その時期に見合ったものだけを拾い上げた・・・と、云うのです。〕