≪三節;屍騎士(デスナイト)再び・・・≫
〔それはそれとして―――今回の朝議が終わった後のこと、ある異変が皇都を襲ったのでした。
それは・・・空気的にはいつもと代わり映えはしなかったのですが、
その人物にとっては、どこか違っているように感じたのです。
そのことを表す要因として、その人物が持っている聖剣・エクスカリバーが―――・・・〕
ヒィ〜〜ン ヒィ〜〜ン――― ヒィ〜ン・・・・
イ:(おかしいわ・・・私のエクスカリバーが、何かに反応を示すように、こんなに共鳴をするなんて・・・
それに・・・どことなく胸騒ぎが―――どうやら、気の所為ばかりではないようですね・・・。)
〔彼女―――イセリアは、現在に於ける<十聖剣>の一つ エクスカリバー の所持者でもありました。
その聖剣が、いつの頃からか・・・持ち主であるイセリアに、まるで警告を促しているかの如くに、
共鳴をしていたのです。
それにそれとほぼ同じくして、どこか胸が騒いでならなかった・・・
当初は気の所為ばかり・・・と、思っていたけれど、
一向に収まらない剣の共鳴と胸騒ぎ―――・・・
もしかすると―――と、思うところはあるけれど、やはり現実としてのそのものを見ない限り、
それを受け入れることは出来ない―――けれども・・・
時に現実とは、残酷であることをイセリアは理解していたのです。
―――とは云え、またも厳しい現実を見つめ、受け入れることとなろうとは・・・〕
イ:(・・・!)―――誰です!? そこにいるのは・・・
〔それは―――丁度、イセリアがシャクラディア城中庭に接する回廊に差し掛かったとき・・・
どこか見覚えのある人影を見かけたのです。
その人影に向かい、イセリアが呼びかけを行ったのですが―――・・・
彼方よりは返す言葉はありませんでした・・・
けれども―――ただ・・・その人影は、中庭に佇んだまま、イセリアのほうを、じっ・・・と、見つめていたのです。
そう・・・まるで―――愛しい者に、そうするように・・・〕
イ:・・・えっ? まさか―――・・・ジュヌーン?!
もしかしてあなた・・・ジュヌーンなの?!!
ジ:フフフ・・・ようやく気が付いてくれたようだね―――イセリア・・・
そうだよ―――ボクだよ―――君のコトを愛していた・・・ジュヌーンだよ!!
イ:――――!!!
〔若(し)かして・・・その人影とは・・・やはりそうでした―――
シャクラディア城中庭に佇んでいた人影とは、イセリアの出身国であるハイネスブルグの、
彼女の元許婚・・・
周囲(まわ)りからは、“ダメ男”や“親の七光り”などと囃(はや)されても、
イセリアにしてみれば、愛しく想う気持ちには変わりはなかった男(ひと)・・・
けれども、すでに知ってのように―――彼という存在は、この世にはいない・・・“故人”・・・
以前、ハイネスブルグ国境が、カルマによって侵されそうになったとき、
“雪月花”である彼女たちの援護となって現れ、そしてある魔将の手にかかって散っていった者・・・
―――だとしたら・・・今の、シャクラディア城中庭に佇んでいるのは・・・何者??
確かに―――彼の者は、自身の口で、自分が何者であるかという証明を立たせてみました。
けれども―――・・・〕
イ:そん・・・な―――ジュヌーン・・・
でも、確かにあなたは、キュクノスという魔将によって、命を絶たれたはず―――・・・(ワナワナ〜・・)
ジ:イセリア―――痛いよ・・・痛いんだよ・・・
ボクがこの身に受けた武器の棘(とげ)が・・・
だから・・・だから―――君のその躰で癒しておくれ・・・
〔けれども―――・・・自分の愛した人は、自分の目の前で、その生を絶たれたはず・・・
いや―――“はず”ではなく、その最期をちゃんと看取ったのに、
今こうして・・・現実的に、 ジュヌーン=トゥール=ガフガリオン と云う存在は、
動き、言葉を喋っているのです。
すると―――“これ以上は危険”だと、<聖剣>自身が判断を下したからなのか、
今までは共鳴までに留めていたものが、次には眩(まばゆ)いばかりに輝きだし、
それに呼応するかの如く、イセリアの右手が、剣を収めていた鞘から抜き放ち―――〕
ピュゥン〜〜―――
ジ:な・・・何をするんだい、イセリア―――
イ:・・・これ以上近寄らないで―――
あなたはジュヌーンの姿をしていても、決してジュヌーンなどでは有り得ないわ!!
あの人は・・・この私の腕の中で、その一生を閉じたの・・・死んだのよ?!!
それを・・・そんなあの人の姿や名を騙ろうとする者を、私は決して赦さない!!