≪四節;過(よ)ぎる不安≫
〔刻として同じ頃―――パライソ国・女皇であるアヱカは、いち早くこの異変に気付き、
今も、その違和を感じる特異点に向かっているところでした。〕
ア:(この違和感・・・あの時と同じ―――
アヱカの護衛だったあの二人が現れたときと同じだ。
けれどおかしい・・・あの時は―――ウェオブリに現れたときには、
結界を張り巡らせる装置など、なかったからなんだけれども・・・
この場所は違う―――ここは、元々私の所有物であり、外敵からの侵害から守るために、
常時結界を張り巡らせているはず・・・
それに―――以前のこともそうだけれど・・・屍人が少数単位で行動するなんて、極めて稀なことだ・・・
屍人である以上、徒党を組んで行動を起こすはずなのに・・・)
・・・ここは一つ、私が出向いて調べなければ―――
〔アヱカは・・・いえ、女禍様は、屍人であるジュヌーンが、シャクラディアに訪れていることをすでに知っていました。
けれども、いえ・・・だからこそ奇妙に感じたのです。
元来、このシャクラディアというものは、女禍様の所有物であるがために、
容易として“外敵”なる存在を侵入させ難(にく)くしていたのです。
それが・・・例え 単体 とは云え、侵入を赦してしまっている―――
・・・だとしたら、シャクラディアの結界を破ったのだから、その箇所が綻びを生じさせているはず―――
・・・と、そう想えば、結界は正常に機能しているのです。
加えて―――屍人という存在は、得てして物理的に脆くなっており、
集団徒党を組んで、人や家畜を襲い来るはずなのに、
今回も・・・また前回も、少数単位で行動を起こしている―――と、云うことに疑問を持ち始め、
自らの目で、真実を見極めようとするため、その場所に赴いていたのです。〕