<第八十六章;変わり行く黒き国>
≪一節;数々の疑問≫
〔パライソ国女皇・アヱカの神霊術<スピリチュアル>によって浄化されていった、
屍騎士<デスナイト>・ジュヌーン=トゥール=ガフガリオン。
しかし、そこには多くの疑問が残されていました。
―― 一度死した者を 再び甦らせる 屍魔術<ネクロマンシー> ――
―― その存在だけに 留まるを知らなかった 複数なる存在 ――
けれども、やはりその中で群を抜いていたのが・・・
―― 人間では 扱うことさえ叶わないとされる 超高等魔術を駆使した 女皇 ――
と
―― 堅牢なる結界を すり抜けてきた “屍人” の存在 ――
・
・
・
最後の一つは、奇跡的に入ってこれたとしても、数画も経たないうちに、
シャクラディアの浄化作用によって、消滅していくはずなのに・・・
そのジュヌーン某という屍騎士は、実に数画もの間・・・それも、アヱカによって浄滅させられるまで、
生きていた頃とそう変わりはない姿を保っていた・・・と、云うのです。
それに―――あとになってよく考えてみれば、このジュヌーン某は、
漆黒の国カ・ルマの内情を伝えに来た、伝達人<メッセンジャー>でもあったのです。
このことは・・・やはり、何かしらの意思が介在し、
行動に踏み切っていた―――と、そう思わざるをえないのですが・・・〕