≪三節;予測しえぬ復活・・・≫
〔けれども、ジィルガ=式部=シノーラが、
“ハーヴェリウスのラビリントス”へと行かなければならない年に、
不慮の事故によって亡くなってしまったことで、憂慮しなければならないのですが・・・
そこで、ジィルガ式部の骨片から復活させたのが、
奇しくも自分の姉であった―――と、判ったときには、
嬉しくもあり―――また、哀しくもあったようです。
それに、復活させられた場所というのが、
遥かな昔に敵対をしていた、カ・ルマの本拠であるコキュートスなのですから・・・
しかもよく見てみれば、自分の姉が敵対勢力の一員に成り下がってしまっている―――?
そう思ってしまい、最初は激しく反発したものだったのです。
ところが―――やがて、姉の本意を知るとともに、行動も共にし始めたのです。
そう・・・カ・ルマの一員になった フリ をして、内部からの崩壊を試みる―――
それが例え、愛しき妹である女禍と、対峙してしまうこととなろうとも・・・
その覚悟が決まったまでは良かったのですが―――・・・
やはり波乱は用意されていました。
それというのも、自分がコキュートスで復活を遂げたことを、
まづ、同じ勢力である魔将たちに知らさなくてはならない・・・
下手をすれば、姉の策略の前に大惨事を招いてしまう―――
・・・と、云うことで、今は シホ=アーキ=ガルテナーハ と云う存在になっている姉の取り成しの下で、
魔将たちの前に姿を見せたのです・・・。〕
べ:き・・・貴様は―――!
キ:マエストロ・デルフィーネ!!
フ:・・・よくもおめおめと、面を晒せたものだな!
ア:それに・・・どういうつもりだ―――シホとやら。
ワレらにとって大いなる損害をもたらした者を、甦らせるとは・・・!
シ:そこのところはご心配なさらぬよう・・・
実は、この存在―――以前までの記憶は失せ、まったくデフォルトの状態にしてあります。
ですが・・・魔将様たちを苦しめた、強力な魔導までは消え去ってはおりません。
この先の戦いで、有用な活用をしてみては―――いかがなものでしょう・・・。
ビ:ほぅ―――・・・私達が抱いていた、過去の記憶だけを消し去り・・・
過去には恐怖を抱かせた、魔導はそのままだ・・・と?
そんな旨い話がある・・・と―――?
シ:・・・そんなに疑問がおありなのでしたら、ここで忠誠を誓わせてみてはいかがでしょう。
跪き―――両手を付いて額(ぬか)づき、『これからカルマに尽力します―――』と、
そう云えば、得心していただけますでしょうか。
〔魔将たちは、現在の姿は違うけれども、存在の意義が自分達を苦しめた者だと判ると、
敵意をむき出しにしていました。
そこをシホは、旨く装飾して、過去に抱いていた怨恨のみを取り除き、
やはり当時をして、彼らの畏怖の対称だった強力な魔導をそのままにして、
今後はカルマのために有効に活用しては―――と、諭したのです。
しかし・・・ビューネイは、そこを怪しいと感じ、反問答をしてみれば・・・
するとシホからは、そんなに怪しむのならば、この場で忠誠を誓わせてみては―――と、したのです。〕