≪二節;“蒼龍”の実態≫
〔そこを婀陀那は―――これまでにも、幾度もカルマと戦闘を繰り返してきた、
経験も豊富にある、元フ国・ガク州司馬であったキリエに意見を聞いたところ、
やはり彼女からも同様の応答(こた)えが―――・・・
すると、ある時期に元フ国・ガク州の攻防戦に参加をしていた将―――
婀陀那の懐刀でもあった紫苑から、ある存在のことが仄(ほの)めかされたのです。
しかし・・・同じくして援軍として駆けつけていた、ハミルトンやタルタロスからは、
味方になり難(にく)いのでは―――との声が上がったのです。
では、このとき紫苑が推した、味方につけておきたかった存在とは・・・?〕
紫:・・・『蒼龍の騎士』―――。
婀:『蒼龍』―――・・・
して、その者はどのような者であるか。
紫:はっ―――。
その者は、蒼き龍を基調としておりますが・・・その半身が女性―――
しかも、なにやら見慣れぬ甲冑を着けた騎士・・・のような者なのでございます。
それが不思議なことに、カルマの兵士しか掃討しなかったもので・・・
婀:ほぉう―――・・・そのような殊勝な者が・・・
キ:―――・・・。
イ:・・・キリエ殿―――どうされたのです。
顔色が優れないようですが・・・
キ:・・・いえ、なんでも―――
けれども・・・そんなに安易に信用してもよろしいものなのでございましょうか。
形(なり)がヤツらと同じならば、やはり性根においても、同じなのでは・・・
ヒ:(ヒ=ベイガン;元フ国・ガク州司馬の副将。
彼のトレードマークはご存知“虎髭”であるが、それが転じて現在では虎髭将軍の将軍位に就いている。
数少ない、キリエの正体を知る人物でもある。)
(やぁべぇ―――・・・)
婀:いかが・・・いたしたのかな―――
キ:うぅ・・・〜っ―――ほ、本当は、このことはご内密にしておきたかったのですが・・・
〔それこそは、不思議なことに、容姿はカルマの魔物たちに、似通っていなくもないというのに、
それでいてカルマの兵士だけを、狙って襲っていたという『蒼龍の騎士』のコト。
そんな存在が、パライソについてもらえさえすれば、安心に越したことはない・・・
そう紫苑は読んだのですが・・・
そんなときに、蒼龍のコトをよく知っていると思われるキリエの表情が曇ってしまい、
それを怪しんで見咎めたイセリアが、すかさずキリエを質したのです。
それを見た、もう一人―――蒼龍の事情をよく知る、元フ国・ガク州司馬の副将が、
反応を起こそうとしたところ・・・
キリエの口からは、なんとも驚くべき発言が成されたのです。〕
キ:実は・・・私は知ってしまったんです―――
あれは・・・ガク州での攻防ではなく、隣国のラージャでの攻防の際に・・・