≪六節;忘れかけていたコト・・・≫
〔それにしても・・・彼ら三人が提案しようとした政策とは、
――パライソ国による、ラージャ・ヴェルノア両国家の併合――
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それはこの当時をして、最も画期的であり意外性に富んでいることだと思われたのですが、
どうやらアヱカが、この政策を拒んだ大きな理由が、アヱカにまつわるあることに深く起因していたことは、
そのときアヱカが口にしていた言葉に、最もよく表れていたことだったでしょう。
そして、そのことを宛(さなが)らにして気付かされた者は―――・・・〕
タ:ふふっ・・・ワシとしたことが―――時期を早まってしまったようだな。
婀:うん―――? どういうことですかな・・・それは。
タ:婀陀那―――お前は、大国であるヴェルノアの主であるからこそ、判らぬこともあるだろう・・・
婀:―――しかし、今の妾は・・・
タ:パライソも“国”―――ヴェルノアも“国”―――そして・・・
テラも“国”―――・・・
そのテラという国は、アヱカ様の故国であり、すでにカルマに滅ぼされているのだ―――
〔自分の夫であるタケルの一言により気付かされた―――
いや・・・婀陀那自身も知ってはいたけれども、今回はそのことを念頭に入れておかなかったことを、
夫からのその一言により思い出したのを、婀陀那は恥じたものだったのです。
ほんの少しばかり以前―――『夜ノ街』の“ギルド”という場所で、その長をしていた頃・・・
自分とは正反対ながらも、不思議と気の合う方と友誼を交わした・・・
そのとき、どうしてこんな処に来たのか―――の、所以(ゆえん)を知るに、
自分の故国を・・・むべもなく蹂躙されたからだ―――と・・・
愛する官や民や、父や母でさえも・・・手にかけられた―――と・・・
それが・・・姫君の国・・・テラの、最期だった―――と・・・
つまり―――アヱカはどういう象(かたち)であれ、自分の国が失(な)くなってしまうという事の、
辛さや厳しさ・・・切なさや哀しさを知っているがゆえに、その政策を拒絶したものだったのです。〕
To be continued・・・・