≪二節;珍問答≫
〔それはそれとして―――これから客たちからの注文を聞いて回った料理人が、
注文の品を作るのに厨房に入るため、アヱカの注文を別の人物に任せるようです。
すると・・・少し離れたところから、アヱカの注文を採るために来たウエイトレス―――・・・〕
給:(給仕;藍色の髪をしたウエイトレス、本人曰く・・・このメイドの姿が、死ぬほど恥ずかしいらしい。)
―――はい、お待たせいたしました。
ご注文は何でございましょうか。
ア:―――・・・。(じぃ・・)
給:―――あら?お客様??
ア:(プルプル〜)・・・意外にその姿似合ってるね―――可愛いよ、サヤ・・・
サ:(サヤ;なんとメイド姿のウエイトレスはサヤでした。)
―――はいい??
――――・・・・・。
あ゛〜〜っ! ひ、ひょっとして・・・もしかしなくてもぉ〜?!
〔―――もはや、説明の余地などないでしょう・・・。
そう、この食堂を切り盛りしているのは、サヤとマダラの主従だったのです。
そのことを知っていたのか・・・果てまた単なる偶然なのか―――・・・
アヱカは食堂の暖簾をくぐり、この二人に愛想を云ったのです。
けれども・・・まるで不意打ち同然のご訪問に、サヤは―――・・・〕
サ:おいっ―――! ちょっ・・・こら、マダラ! お前一体ど〜いうつもりで―――
マ:子爵様・・・客の前―――
サ:えっ―――あっ・・・はは〜〜・・・ど〜もごめんあっさぁ〜せ?!
マ:(ぷぷっ――! 〜くく・・・)
サ:てんめぇ〜〜・・・このやろう・・・そこで吹いてんぢゃあねぇぞう!
それよりもだよ! なぁんで主上がこんなとこに来てんのさぁ!
マ:―――さあ・・・それが、トンと・・・私のほうでも・・・
ア:・・・そんな云い方はないんじゃないかな―――
私はただ、巷でも評判になっている、国民食堂の味を確かめに来ただけだよ。
サ:―――ちぇっ・・・しまんねぇよなあ〜・・・
それで? ご注文は決まりましたか―――
ア:そうだね・・・それじゃあ・・・おむすび定食でもらおうか。
サ:あいよっ―――おむすび定食一丁〜!
〔どうも、サヤにしてみれば、この格好―――メイド服というのはかなりな抵抗があったようでして、
でも、この格好が、彼女本来の姿を隠すカムフラージュになっているということは、
あたら彼女目当てで来る客の・・・この食堂の繁盛振りからも判ることだったのです。
けれども、こんな恥ずかしい格好を、一番見られたくない人―――
古えにも自分たちの主であった方・・・“皇”であった方にまじまじと見られ、
剰(あまつさ)え、その方から“可愛い”などと云われては、さすがのサヤも返す言葉もなく、
閉口せざるを得なかったようです。〕