≪四節;親友(とも)の真意≫
〔モノを発さない使い番―――本来ならば、口伝にて何事があったかを伝うるのが、
その者達の役割であるはずなのに・・・
けれども、その使い番が負っていた傷で、物事の重大さを知ることができ、
だからこそ、急を要したはずなのですが・・・〕
タ:なんっ―――ですと・・・?
ア:―――・・・。
タ:なぜなのです!主上!! どうして―――・・・
ア:―――・・・。
〔自分の故国が危ういということで、早急に開かれた軍儀。
でも、そこで待ち受けていたのは、非情とも思える宣下なのでした。〕
ア:“ナゼなのです”・・・? そのことが判らない君じゃないだろう―――タケル・・・。
この国の食糧事情が不安定なこの時期に、自分の出身の国が危ないから・・・と、いう事由のみで派兵をすれば、
それだけでこの国の台所事情は火の車と化してしまう。
それに、戦ともなれば、また多くの生命が失われてしまうことになる。
タ:―――・・・。
ア:・・・辛いだろうが、堪(こら)えてくれ―――
〔“辛いだろうが” “堪えてくれ”―――と、だけ、女皇は仰せになる・・・
一つの国が、“国”としての意義を失おうとしている瞬間に―――・・・
そのことの辛さは、何よりも女皇ご自身が知っておいでのはずなのに・・・
タケルが立案した、“ラージャへの援軍の派兵”は、女皇の一声にて見送られてしまったのです。
パラ・イソ国が発足した当初、旧態であったフ国の倉を受け継いでも、
苦しい台所事情は依然として解消されることはなかったのです。
それを、防衛線一つにとってしてみても、兵士たちを養う兵糧だけでも莫迦にはならず、
だからこそ、今回の案は見送られたのではないか―――と、思われたのです。
ところが―――・・・
軍儀の閉会時に、女皇は次のようなお言葉で締めくくられたのです。〕
ア:タケル・・・確かに、君の故国を想う気持ちや、友たちを想う心は、私には非常に良く判る。
だからと云って、君の真の友は、果たして仕えている国が窮地に追い込まれたから―――と、
そう云って安易に援けを求めたりしたものだろうか・・・。