≪三節;女皇の計略≫
ア:―――実は・・・お前たちも知ってのように、ラージャの都が陥(お)ちてしまった。
そのことについては甚だ遺憾なのだが、
私はあることを前提にして、派兵させるのを踏み留めさせてしまったんだ。
つまり、国が国としての意義を保てられているのならば、
余程のことがない限り、こちらから進んで手を貸そうというのではないんだ・・・。
だが・・・最悪の事態は起こってしまった―――
国の象徴たる王が亡くなられ・・・その都も奪われ―――
かの国には、国としての意義が保てなくなるまでになってしまっている・・・
それに―――次にカルマが狙い目をつけてくるのは、
主だった家臣たちが潜伏する コンゴウ という地であることは、
容易に想像がつく―――
けれど・・・以前に、併合の話を拒絶してしまっているために、
将校などの身分ある者を、向かわせ難(にく)くもなっているんだ・・・
だから・・・お前たちには、非常に申し訳ないことだが―――
キ:・・・ナニを仰られますやら―――そのお言葉だけで十分でございますよ・・・。
サ:それに・・・私たちが一兵卒となって、コンゴウという処まで赴き、
そこであいつらの鼻を明かしてやれ―――って云うんでしょう。
どっちかって云うと・・・そっちのほうが性に合ってるんですよね〜♪
ア:フフ・・・これ―――・・・
それにしても、何が起こるか判らない、油断のないよう十分に気を配っておくれ。
〔そう―――この一連のやり取りを見ても判るように、アヱカがキリエとサヤを自分の部屋に呼び寄せたのも、
これから起こるであろう、カルマの“ラージャ残党狩り”を阻止させるべく、
かの地・・・コンゴウに、この二人を派遣させるためだったのです。
けれども以前に、国が国として存続している間になそうとしたある事案・・・
“併合”の話を頑なに拒絶したために、すぐさま掌を返したかのようなことをするのは、
どうにも気が引ける―――と云う事で、あえて昔からよく知るこの二人ならば、
自分の胸中をよく酌んでくれると思い、選ばれたことでもあったのです。
それに、キリエにサヤも、アヱカの苦悩を理解していただけに、
イヤな顔一つせず、一兵卒となってかの地へと赴いたのです。
それでも・・・女皇には、まだ何かいいようの知れない懸念が蟠(わだかま)っていたのでした。
それは・・・このときには、まだ漠然としたもので、
何であるかまでは、特定するには至らなかったのですが―――・・・〕