≪四節;コンゴウ攻防(壱)≫

 

 

〔―――ともあれ、何の弊害もなくコンゴウへと着いたキリエとサヤは・・・〕

 

 

番:―――むっ?! 何者だ、お前たちは・・・

 

キ:い・・・いえ~決して怪しい者では・・・

サ:・・・おらだつ、カマロの出だで―――

  んだば~王都さ落ちたべな~つって、おどたつのこどが心配になッで

  ここまできだんだなや~。

 

キ:(なはは・・・)そだべ―――そだべ―――

  そいを何者か~つって、そりゃあんまりでねべかぁ?

 

番:むぐぐ―――・・・ち、ちょっと待て―――上の方と話をつけてくる・・・

 

 

〔コンゴウへの入り口ともなっている 関 の番兵に止められた、一見して農民風の女性二人・・・

それがどうも、ラージャの地方でもまた独特の訛り言葉を話すようですが・・・

実は、この二人がキリエとサヤだったのです。

 

しかし―――そのひどい訛りに、ついぞ番兵は理解ができず、

その地方出身の将を連れてきて、ここで始めて彼女たちの身内を心配して、

このコンゴウまで来たということが判明したのです。

 

 

それから幾分か時が経ち―――やはりカルマは、ここへも押し寄せてきました。〕

 

 

将:はぁ~っはっはあ―――! そぉ~れ!ラージャの者共を残らず根絶やしにしろぉ!!

 

魔:ゲヒャヒャヒャ~―――ネダヤシ ネダヤシ~~!!

魔:ブッ殺して、ブッ殺されて~―――タノシ~ったらありゃしねえぜ~!!

 

番:皆の者~! 出会え~~出会え~~―――! 敵襲にござるぞぉ―――!!

 

 

〔仮の王都へと迫ってきた、オークやゴブリンなどの魔物兵―――

そして・・・それを束ねる魔物の将―――

 

もうこの頃になると、カルマ軍の構成は、人間の兵士などは一人としておらず、

文字通りの魔物だけの構成となっていました―――

 

その一方で―――これの迎撃に当たっていたラージャの兵卒の中に、

このほどコンゴウへと潜入を果たした者が二人・・・

キリエとサヤは、義民兵として参加をしていたのです。

 

元々、人間とは異種族である彼女たち二人は、

基礎の能力値が並外れて優れているだけに、すぐさま目紛(めまぐる)しい活躍をしたものだったのです。

 

そう―――彼女たちが得意とする得物・・・

キリエは戟を―――サヤは刀を振るって・・・

 

 

しかし―――・・・〕

 

 

ジ:ン・フフフ―――・・・

  どうやら、こちらの思惑通り、あの子達が出てきてくれたようね・・・

  では―――こちらもご挨拶をしないと・・・ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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