≪二節;ある町の風景≫
〔それはそれとして―――・・・
今はここ―――宗教国家として成り立っている、=列強=サ・ライ・・・
その一地方都市―――エルの町にて・・・
読者諸兄は覚えておいでであろうか―――・・・
この町に住むという・・・ある少女の事を―――・・・
少女―――ヱリヤは、自らが身を置いているこの町で、
生活に必需な物品の数々を、いろいろ購入しているところでした。
そんな最中(さなか)―――・・・〕
店:おや―――ヱリヤちゃんいらっしゃい。
いつもの・・・で、いいかい―――
ヱ:はい―――いつものでお願いします。(ニコ)
―――・・・。:誰
―――・・・。:誰
〔今・・・行きつけのお店(パン屋)にて、いつも購入を約束している分量を、お金で等価交換するヱリヤ・・・
しかし―――この少女をつけ狙うかのように、見つめる視線が二つ・・・
それは、町の花売りであったり、犬を連れて散歩をしている、この国のご婦人であったりしたのですが・・・〕
花:お花―――お花はいかがですか〜〜
婦:ほら―――イクサー、こっちよ・・・
花:お嬢ちゃん・・・お花お一つ、いかがですか。
ヱ:あら、まあ・・・可愛い―――では、お一つ頂きますわ。
花:毎度ありがとうございます・・・2ジュニーになります。
ヱ:はい―――(チャリン〜☆)
花:ありがとうございました―――
〔気立てのよい花売りが、すぐそばを通りかかったヱリヤに催促の言葉を掛け、
ヱリヤもその気立てのよさに気をよくしたのか、お花を一つ購入したのです。
しかし―――このとき、すでにもう状況は開始されていました・・・
そう、この花売りの唇からは、お礼の言葉と共に、別の何かを発していたのです。
その別の何かこそは―――・・・
>目標を捕捉―――目標は“目印”を手にし、居住へと戻る模様・・・<
>了解―――直ちに“追尾”を目標に向け、放ちます・・・<
その通りでは―――先ほどまで花を売っていた女性は姿を晦(くら)まし・・・
飼い犬に逃げられて、尻餅をついたご婦人が―――・・・
一見すれば、何の変哲もない、日常の光景にしか見えなくもなかった・・・
しかし―――たった一つ違ったことは、この二人の女性こそは、=禽=の二人・・・
一人は―――『花売り』に扮した=禽=の副長・・・<鵺>。
もう一人は―――犬と散歩をしていたこの国の『ご婦人』・・・<鳳>
ですが、そこでは彼女たち二人だけではなかったのです。
そう―――もう“二つ”・・・
それこそは、“目印”となった、ヱリヤが購入した 花一輪 に、
逃げた“追尾”役の 犬 ・・・。
このことからも判るように、=禽=はあるモノ・・・<白雉>の式符を使い、
少女ヱリヤの居住を突き止めようとしていたのです。〕