≪四節;同士再会≫
公:これ―――そなたたちに、ちとものを尋ねたいのじゃが・・・
マ:(マキ;前述の“鵙”なる者)
―――ほえ? あれ、あんた確か―――・・・
ナ:(ナオミ;前述の“梟”なる者)
タケルの奥方である・・・婀陀那様では―――!?
ル:(ルリ;今まで婀陀那の影武者を務めた彼女の正体は、
なんと、ナオミ・マキ・レイカ・ユミエ・シズネたち=禽=の一員。)
な〜んて♪ 私ですよ―――ワ・タ・シ♪
マ:あれ?その声・・・ルリちゃ〜ん―――♪
ナ:なんだまったく・・・人騒がせな―――
でも、お前がここに来ているということは・・・
ル:ウフフ―――ナニを隠そう、この姿をしているご本人様に頼まれて・・・ですよ。
私としても、一国の公主様がこのようなことをしてもよろしいのですか・・・と、申し上げましたが、
かの方からは、ご自分の旦那様自らが危険を冒されているのに、ご自分だけが―――と、云うこともあるようでして・・・
でも、国策の中心的役割を担っているがゆえに、急遽私を代役に立てられた―――と・・・
マ:あ゛〜〜ん・・・なんだかややっこしい話しだよねぇ。
ナ:―――ま、お前の素姓は、周囲(まわ)りの連中には割れてないから、不自然がないように頼むぞ・・・
ル:―――はい。
〔そこにいたのは、紛れもなくヴェルノア公国公主である婀陀那―――でした。
けれども、ナオミ・マキの二人は、それ以前にその者が誰であるのかを知っていた・・・
それは自分たちの仲間―――・・・
須らく他人に成り済ませられる術を持ち合わせたる者―――“カケス”・・・
そしてこの度、成り済ませている者の代わりとして、とある大役をこなそうとしていたのです。
その大役とは・・・古(いにし)えの勇将にして、『帝國の双璧』の≪楯≫である者、
そして同時に、不死の王であり、その美は妖艶であるとさえ伝えられているという・・・
ヴァルドノフスク城主―――・・・
その方の機嫌を少しでも損ねでもしたら、例え軍事大国の公主でも容赦はないだろう・・・
―――と、までされていたのですが・・・
ともあれ―――三人共々、杜の中へと入っていったのでした。
しかし突然、その直後にこの杜特有であるとされる“ブラッディ・ミスト”(血溜りの霧)が立ち込め、
たちまち辺りが、有視では確認が取れ難くなってしまったのです。
けれど・・・それでも、ナオミとマキは三つの刻の後に合流することができたのですが、
なんと、肝心のルリがはぐれてしまったことが判ってしまったのです。〕
ル:(なはは・・・ど〜しましょ―――団長とマキとはぐれちゃったぁ〜・・・
しかも、方向感覚も麻痺してしまって・・・今、私はこの杜のどの地点にいるの?)
〔“杜”と偏(ひと)えに云っても、明らかな地図さえもないところで迷ってしまえば、
この杜にいる同じくの存在となってしまう―――・・・
それこそは、この“迷いの杜”に無闇に入り込み、迷った者達の成れの果て・・・
或いは人間であったり―――或いは魔族であったり・・・
だからこそ、近隣の住民たちはある噂を立てたりもしたのです。
この杜には―――普(あまね)く、迷えし者達を“食”の対象としてみなす、畏るべき存在がいる・・・と―――
それがすなはち、不死の王にして、生きとし生ける者総ての天敵であるとされる・・・
吸 血 鬼
ヴァンパイア
だから、ルリも―――・・・?〕