≪六節;顔見知り?≫
〔片や一方―――ナオミとマキは、自分たちの体内磁石を大いに狂わせる、この杜の特性に苦しめられながらも、
どうにかして自分たちの目指していた地点へと辿り着き・・・〕
ナ:ふぅ〜・・・かなり時間を食ってしまったな―――
それより・・・ルリは大丈夫なんだろうか―――
マ:大丈夫だよ・・・あの人も、立派なあたしたちの仲間じゃないか。
仲間のことは、信じてあげなくちゃ・・・
ナ:それもそうだな―――・・・
それにしても・・・あそこに見える、あれがそうなのか―――・・・?
マ:なんつ〜か・・・雰囲気出しまくってますよね。
ガサ・・≧
―――おりょっ?
〔この杜は、元来から磁力が強く、生物に備わっている 体内磁石 ・・・
つまりは、“方向感覚”を麻痺させるという、ユニーク(固有)な特性を持っていたのです。
しかも・・・時折立ち込める深い霧―――実はこの深い霧も、その中には電磁波を帯びた微粒子の塊であり、
精密機械を狂わせる・・・など、なかなか厄介な代物だったのです。
けれども、かなりな時間を費やしたとは云え、ナオミとマキはこの地点へと辿り着くことができた・・・
しかし、これは何もナオミが優れていたわけではなく、もう少し断定的なことを云ってしまうと―――
彼女たち二人をこの地点に導いたのは、マキのほうだったのです。
どうして―――? そのわけとは・・・
すると、ナオミとマキが出てきた道の対面から、何者かを負ぶった―――〕
公:ぷはぁ〜―――やっと抜け出られたか・・・一時はどうなることやらと思うたが・・・
謎:ほい〜ご苦労サン―――♪ ここまできたらあと少しだよ。
ナ:ル・・・公主様?! ご無事だったのでございますか―――それに・・・そちらの方は?
〔正直云うと・・・私は―――こいつが・・・ルリのヤツが、この杜を一人では抜け出ることはできないと思っていた・・・
それが迷いもせず―――しかも誰かを負ぶさってまで・・・
あんなに・・・昔には、他人の手を焼かせてばかりいたルリが―――・・・
=禽=の一人が起こしたこの奇跡に、ナオミは少し感動をしていました。
昔には人一倍他人の手を焼かせ、わがままばかりを云っていた者が・・・
けれども、そんな感無量な場面を、一瞬にして覆させるような事態が・・・
それが、なんと―――〕
マ:ありっ―――? ひょっとして・・・エルムちゃん?
エ:(エルム;今まで“謎の美女”とされていた御仁。 然(しか)してその正体とは―――・・・)
ん〜〜? あっ!そういうあなたは―――・・・マキちゃ〜ん!♡
ナ:ちょっと待て・・・お前らひょっとして、知り合いか?
マ:えっ? いやぁ〜知り合い―――って云うのもなんだけどさぁ・・・
ほら、あたしとナオさんと、二人してここらで任務をこなしたときがあったっしょ?
そのとき云ったじゃないですかぁ〜〜―――って、云ってなかったでしたっけ?あたし・・・
ナ:・・・初めて聞くなぁ―――私は・・・
マ:あっ! じゃあ〜〜うっかりサンだったんだ〜〜あたし☆
ナ:なぁ・・・# 私も気の短いほうじゃないが―――敢えて一言云わせてもらうとしよう・・・
=お前に明日を生きる資格など・・・ない!!=
マ:しょえぇ〜! ナオさんが『北斗のケン』さんモードに入っちゃったお〜!
公:(は・は・・・ナオミがあれになっちゃうと、ちょっと厄介なことになっちゃうのよね〜・・・)
これ・・・今は仲間割れをしている場合ではなかろう―――
早急にして“お城”まで赴き、その“城主”とやらを説き伏せねば―――・・・
エ:ねえねえマキちゃん? こいつらさっきから何のコト云ってんのよさ―――
マ:あ、そりはだね〜〜エルムちゃんに、斯々云々(かくかくしかじか)のお話があるのよさ。
公:ちょっと・・・マキ―――どの?? ナゼにその者に・・・
マ:ん〜? だって―――その“城主”・・・って、このエルムちゃん・・・
ル:まぁ〜きぃい〜〜!#
=手前ェの血の色は・・・何色だ!!=
〔どうやら、この“お城”の“城主”である方と、=禽=の一人が以前よろしく友誼を交わしていたらしく、
ならばナゼそのことを早く―――と、云ったような展開がなされたりもしたのですが・・・
実は、奇妙なことには、マキの記憶はそのときまで完全に消えうせており、突如として記憶が甦ったというのも、
マキが“城主”こと エルム=シュターデン=カーミラ なる者と出会い、
エルムから ブラッドチャリス なるアクセサリーを貰ったことが、そもの原因だったのです。
そう―――マキも、仲間のルリが背負ってきた人物をエルムだと判ったのも、
また、この杜を迷わずに抜けられたというのも―――このアクセサリーのなせる業だった・・・
そのことは、このアクセサリーを持っているマキ本人でさえも、自覚することのないことだったのです。〕