≪二節;感心すべきこと≫
〔時に、今回から表立ったカルマとの対戦のために、新たに常設された 四統将軍 の一角となった“統東将軍”のリリアは、
自分たちよりも優れた戦略眼がありながらも、片時も女皇陛下のお側を離れられないとして、
中軍師に留まったある男の先見の明の確かさに、宛(さなが)らにして驚畏(きょうい)していました。
相手は“食”も十分にあることだから、そのことを大いに活用してこない手はない・・・
また、それゆえに敵方が難なくして陥(おと)してきた処を、またそうしないように鉄壁の要塞並みに防御を固めてくるのは必定、
とは云え、西方の動きも侮ってはならない―――
つまりは、今までは“東”か“西”どちらか一方面に攻勢が集中していたのに、
この度からは二方面同時の攻勢もありえるのだろうか―――・・・
リリアが拘泥していたことを、タケルは的確に両断したのです。
そのためのクーナ攻略であり、全兵力の腹の加減を充たさぬままでは、この作戦の成功はまずありえないとし、
またそれだと気付くのが遅かったならば、自分たちの身に待ち受けるのは 滅亡 の途(みち)のみ・・・
臆せず、忌憚のないままに申し述べられた言葉の中に真実を見たリリアは、ただ納得せざるを得ませんでした。
準備まではすでに出来ているのだから、後はその結果が然るべくして残るのみ―――・・・
もし・・・この男がいなかったならば、そのことすら気付かされぬままに日々の対応に追われ、
総てが後手に廻った挙句、無惨なる敗北の途を辿っていくのみ・・・
その構想は、すでにタケルの頭の内で出来上がっていたのです。
しかし―――そのことが判っているのであれば、最善の策も練れようというもの、
そのことの第一には、もっと少しでも多くの優秀な人材をパライソに取り入れるべき―――
そんなわけで、今回の諸国官吏の引抜があったのです。〕