≪四節;砂の大地―――にて≫

 

 

〔そして―――意気揚々と、妹の艦『シャンバラ』が待っている宙域に向かってみたところ・・・〕

 

 

ジ:おッハろ〜♪ 元気してるぅ〜?女禍ちゃ〜ん

 

ハ:(おわ゛・・・)ジ、ジィルガ様―――・・・

ジ:・・・って、あら、なぁ〜んだ・・・ハミルトンぢゃないの―――

  ところで、あの子は?

 

ハ:は――――はあ・・・艦長でしたら・・・

 

 

〔妹の艦『シャンバラ』のメイン・モニター画面一杯に、海賊どもを殲滅せしめた事で、

満面の笑みを見せる、『ソレイユ』艦長のジィルガ・・・

 

でも、期待していた妹の顔は見えず、少々がっかりした様子―――なのですが、

シャンバラの副官ハミルトンからの説明により、俄然元気を取り戻したジィルガは、

その話が終わるか終わらないか―――のうちに、

さっさと自分の艦『ソレイユ』搭載のクルーザー<ハーヴェリウス>で、妹の後を追ったようです。

 

 

それはそれとして―――

無事、地上へと到達した女禍は・・・

モニターで見たモノとは、明らかに違った様相を呈しているその地を見て・・・

ただ、絶句していたのです。〕

 

 

女:そ・・・・そんな――――

  (確かに―――私が見たモノとは、文明が発達し、高層の建物が建ち並ぶ処のはずなのに・・・

  それが・・・この、砂漠化の現象を起こしている処は、果たして私が見たモノと同じ処なのか??)

 

 

〔彼女が・・・最初に降下した地点とは、“中近東”のアフガン地帯―――

 

そこには、何もなく・・・ただ、荒涼たる砂の大地が拡がるばかり・・・

 

それを彼女は、自分の艦で見た処と同じ場所なのか―――と、疑ってしまったのですが・・・

 

結論だけを述べると、彼女が主に見ていたのは、“東京”“ニューヨーク”“ロンドン”“パリ”―――と、言った<大都会>の光景であり、

今現在、彼女が直に脚を下ろしているところとは、そんな先進国とは疎遠な地域―――だったのです。

 

しかも―――・・・〕

 

 

誰;おいっ―――!お前、一体何者だ!!

女:(・・・・これが、この惑星での言語か―――)

  私は――― 一介の旅の者だ、ここは・・・本当に地球なのか??

 

誰:ぁあ?!なにおかしなことを言ってやがる―――

兵:我々は、パレスチナ解放戦線の一つ、『紅きジハド』の者だ!!

 

女:(ナニ?!“解放戦線”??

  すると―――彼らはゲリラか! ・・・・まづい連中に絡まれたようだな。

 

  ――――よし、ここはひとまづ退くとしよう・・・。)

  すまない・・・どうやら道に迷ったようだ、だからここを去ることにするよ、それでいいだろう―――?

 

兵:(ぅん??)

  ――――・・・お前、まさか モサド(イスラエルの諜報機関) じゃあないのか・・・?

兵:だ・・・と、したらすんなりと帰すわけにはいかん。

  我々とともに、司令のところまで来てもらおう・・・。

 

女:(ますますまづいことになったな―――今、ここで能力(チカラ)を開放してもかまわないのだけれど・・・

  それをしてしまうと、あとあとで厄介なことになってくる・・・。

 

  それに―――シャクラディアには、光学迷彩と、ストーミング・レベルを4に設定しているし・・・

  上手くすれば、彼らのサンプリングをも出来るかもしれない・・・

  ここは一つ、恭順にしてみようか―――)

 

 

〔女禍の目の前に現れたのは、銃<AK−47>で武装した兵士数人・・・

 

でも、彼らの見たものとは、明らかに女性が―――しかも単身で―――

この紛争の耐えない地域に足を踏み入れているという事。

 

そして、それは次第に不信感へと変わって行き、もしかするとこの女性は、

今、自分たちが敵対している国家の諜報機関<スパイ>ではないか・・・と、疑っていたのです。

 

 

それを―――“少々”から“ますます”まづいことになったと感じた女禍は、

あえて抵抗はせず、彼らに恭順な態度を示す事で、敵意がないことを示そうとしたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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