≪五節;更なる“本音”≫
〔でも、例えそうだったとしても、ラゼッタは口をつむぐことなく・・・〕
ラ:(フフッ――)それとも―――総ての事情を・・・ここで話されますか。
アベル君は、すぐにわかってくれましたけれど・・・総てのこの惑星の人間がそうではないということは、
あなた様自身が一番良くわかりえているはずですよ・・・。
】そのおかげで―――私はあなた様の、知りたくもないあの一面を見てしまったのですから・・・【
女:・・・ラゼッタ―――
〔ラゼッタは―――この惑星の総ての住人が一様ではない事を知って今した・・・。
アベルのような理解力のある者もいれば、このほど滅んでしまった米のバイスのような人間もいる・・・。
しかも、その結果として見ることになってしまった、女禍の見てはならない一面――――・・・
だから・・・女禍も、その出足は鈍ってしまったのかもしれません。
しかし、こちらブリジットのほうでは―――〕
ブ:い――― 一体なにを話し合っている・・・。
『総ての事』?『この惑星』?? あ・・・あなたたちは・・・一体―――??
女:ブリジット―――申し訳ないが・・・今はそれ以上話す気にはなれない・・・
けれど、約束通り、金額の方は君の口座に振り込まさせてもらうよ・・・。
〔時間を追う毎に判ってきたことは、この女禍という人物が、いくつもの謎を秘めた―――と、言うことだけ・・・
けれども、彼女たちのいうように、ブリジットは 何も知らなかった ・・・
イヤ、これからの事を思えば、ただ単に“売主と買主”の関係で終わらせておけばよかったのかもしれません・・・。
―――ともあれ、今回のところは一時的に自分の艦≪シャンバラ≫へと引き上げた女禍とラゼッタは・・・〕
ラ:申し訳ございませんでした―――・・・
女:うん・・・いいんだよ、ラゼッタ―――
君の云っていることにも一理ある・・・彼女をこちら側に引き込むというのなら、もう少し時間を費やしてからではないと・・・ね。
ラ:それでは私―――これからあの人の下に行きますね。
用心のために、私自身の<グノーシス>を持って・・・
女:(フフ・・)あまり―――やりすぎちゃダメだよ・・・。
〔彼女たちには―――ひょっとするとある程度の近い未来が見通せていたのかもしれません。
それというのも、今の時点では未だ“第三者”であり、総ての事を一歩退いたところで見ていたのですから。
それに―――女禍たちには、ブリジットを含むあの五人が、滅んだ超大国・・・
ついては自分たちの事を、なんとかして探ろうとしていることも判っていた―――
にもかかわらず、彼らの一員であるブリジットに近付こうとしたのも、あるいは――――・・・〕