<第十二章;荘厳なる歌声>
≪一節;収容手段≫
〔本国・英国の国際空港に降り立ち、そこで自分たちの顧客の“連れ子”らしき一人の少女―――ラゼッタと合流したブリジット・・・
でも、空港から自分の屋敷へと戻る道中、自分が標的にされていると指摘され、その予測どおり襲撃を受けたのですが・・・
このとき偶然(?)にも、ブリジットの車に乗り合わせたラゼッタにより、そのテロ組織は一蹴されたのです。
そして―――これから屋敷に向かって戻ろうとするのですが・・・〕
キュル―――・・・ キュルル〜〜―― キュルル〜〜――・・・
ブ:―――どうしたのだ、セバスチャン。
セ:あ―――ああ・・・申し訳ございません、お嬢様。
どうも只今の戦闘で、ヤツらの流れ弾がバッテリーを撃ち抜いたみたいで・・・
ブ:―――そうか・・・仕方がない、歩くか。
ラ:―――どうしたのです。
ブ:ああ―――どうやら車での移動が困難になったのでね。
だから、今から歩いて屋敷まで戻らないといけなくなったのだよ。
ラ:ああ、なるほど・・・そういうことですか。
―――では、私が送って差し上げましょう。
ブ:はあ?あなたが―――・・・って、でもどうやって・・・
ラ:ウフフ―――そうですね、それでは車に乗り込んでいただきますか。
セ:く、車―――といわれましても、この通り鉄の塊となってしまいまして・・・
ブ:いいですから―――はい、乗った乗った。
〔どうやら―――敵の流れ弾が、車のエンジンに次ぐ大事な機関部 バッテリー を撃ち抜いてしまったみたいで、
そのお陰で、車での移動を諦めて徒歩(かち)で自分の屋敷へと戻ろうとするブリジットたち。
―――と、そこへ・・・それを知ったラゼッタがまた一肌脱ぐようなのです。
でも、動かぬ車へ、執事と当主を乗せて・・・彼女はこれからナニをしようというのでしょうか。〕
ラ:乗り込みましたね―――では、失礼して・・・
〜ズガッ―――☆〜
セ:ひいっ―――?!!
ブ:うわわっ―――な、ナニを一体・・・
ラ:ぃ・・・よい―――しょっ・・・
ぐ ぐん〜〜――・・・
セ:え?え?? う―――浮い・・・た??
ブ:うわわっ―――?! セ・・セバスチャン、外を見ろ!!
セ:ええ〜っ?! う・・・浮いた―――じゃなくて・・・本当に浮いている??
あの―――・・・これは一体どうしたことで??!
〜ぐら ぐらっ〜
ラ:わわっ――! ちょ―――ちょっとあんまり動かないで下さい。
これから鉄の塊に、大人二人を抱えて飛ぶんですから―――
セ:はい―――??!
ブ:こ―――これから・・・跳ぶぅ〜?!!
〜ぐら ぐら ぐらっ〜
ラ:うわわ―――・・・もう〜仕方がありませんね・・・。
ショルダー・ユニット、展開して―――
ッィ〜〜――― ッィ〜〜――― カチャカチャ☆
ブ:こ―――これは・・・金属製の細いアームで・・・四方を固めたというのか?!
ラ:(ウフ)これで―――少しは揺れもなくなるでしょう。
それでは、出発します―――よ。
〔ブリジットとセバスチャンが驚いたこと・・・
それは、乗り込んだ車に、先程の槍を突き立てられたのもそうなのですが―――やはり一番に・・・といえば、
今、自分たちが乗っている車とともに、宙に浮き・・・それから跳ぼう―――と、しているということ。
そう、そこには飛行機、ヘリコプターなどの小型の飛行能力のある機器があるわけでもないのに・・・それがどうして―――??!
しかし、それは疑いようもなく、ラゼッタ自身が飛行能力を兼ね備えている―――と、いうことなのです。〕