<第十三章;御使い>
≪一節;無駄な努力≫
〔亡き父の葬儀の最中(さなか)―――喪中であっても襲い来たテロ組織の連中・・・
そこで迎え撃ったのは、先ほどにも同じ組織から自分たちを守ってくれた、
少女ラゼッタ―――と、同じ年代だと思われる少年マグラ・・・
だと思われたのですが―――
奇しくもテロ組織の連中をもてなしたのは、貴婦人ジィルガ・・・
彼女の笑みをたたえた表情は、万人が“怒り”を覚えるような事でも、崩れる事がなかったのです。
しかし―――逆にそのことが、ジィルガの 不気味さ を物語っていたワケであり、
あの二人・・・ラゼッタとマグラをしても、畏怖の対象ともなっていたようです。
―――と・・・いうことは・・・
そう、ジィルガは 怒り を覚えているのではなく、自身がやっていたことを邪魔されてしまった事で、
激しく
怒っていたわけであり―――・・・
とどのつまり、あのにこやかな表情は、それだと気取られないようにするための、
単なる カモフラージュ ・・・だということ。
ですが―――・・・このテロ組織の無駄な足掻きというものが、一介の貴婦人の なにか を刺激してしまったのは、
否定できないわけであり―――・・・〕
ブ:(ナ・・・ニ?? この人、またワケの判らないことを云って―――・・・)
マ:(うわぁ〜〜―――この期に及んであんな事を云ったりするなんて・・・・)
ラ:(なんだか、この連中に激しく同情しちゃいますね・・・・)
ジ:ウッフフフフ――――・・・・さぁ、次はどんな手を使ってくるのかなぁ〜?♪
テ:くっそぉ〜〜―――! こうなったら、オレたちの“奥の手”をプレゼントしてやる―――!!
ジ:あぁ〜ら、プレゼント―――ナニかしら。
テ:フフン―――とっても素敵なものだよ・・・喰らって昇天しな。
マ:―――なんだ?アレは・・・
ラ:・・・・携帯式のミサイル―――?
ブ:まづい―――あれは・・・『スティンガー』だ!!
テ:(ニャリ)いかにも・・・しかも、『V−X』を弾頭に据え置いたスペシャルverなんだぜ。
ブ:ナニ―――? 『V−X』・・・? “毒ガス”だと?
や、やつら〜〜―――・・・!!
〔しかし―――意外にもジィルガに 怒り はありませんでした。
―――と、云うより、テロリストたちの無駄な行為を、あたら『努力』と置き換えることで、
なにやら自身の愉しみにしていたのです。
けれど、そんな不遜とも思える言動は、テロリストたちを甚(いた)く刺激してしまい、
結果、彼らの“奥の手”である、猛毒ガスを弾頭に据えた携帯式ミサイル―――
このことにブリジットは、彼らの怨敵でもある自分たちと“心中するつもりか―――?”
・・・と、思ってしまったのですが・・・。〕