≪二節;御使いの徴―――≫
テ:フフ・・・われらIRAに栄光あれ―――!!
〔携帯式のミサイル発射装置のトリッガーが引かれ、猛毒ガスを弾頭に据え置いたミサイルは発射されました。
しかも避けられようもない至近距離で―――・・・
そして大方の予測通り、ミサイルは標的に当たり、教会講堂という限られた空間内に猛毒ガスをぶち撒ける―――
は ず
でした・・・・が――――
不思議と爆心地付近は何事も起こらず・・・そう、予測された爆発こそあれ、猛毒ガスの飛散などはなかったのです。
しかも、ミサイル爆発の原理に伴う、一瞬の閃光とおびただしい爆炎・・・
それは、その地点にいたある者の掌の上で燻ぶっていた・・・・
そして、その地点には―――・・・
この地球上にある、様々な宗教の、その教義の解釈を記した書物・・・
或いは『旧約/新約聖書』であったり、或いは『コーラン』などに共通されて記されている、我々のよく知るある存在・・・〕
――背中より生えたる左右三対の翼――
――人間はそれを“神の御使い”たる――
=天使=
・・・と、呼びたる―――
セ:お・・・おお―――! か、神よ!!
ブ:な・・・なんという事だ―――まさか、実在していたなんて・・・
テ:う・・・おおぉ・・・・
〔地球上の知的生物であり、自分たちの信仰しうる宗教上の概念からして、『翼を持ちたる者』の事を、
そう捉える意外に彼らは知りませんでした・・・
しかし―――彼ら以外の二人・・・ラゼッタとマグラは、師のもう一つの姿を、別の意味をして捉えていたのです。
そう・・・それこそは、かつて、女禍もなったとされているこの種族特有の形態・・・〕
執 行 官 形 態
<エクスキューショナーモード>
ジ:ウフフ―――・・・本来なら“赤点”なんだけど・・・
あなたたちの必死度の度合いを測らせてもらってみると、よく頑張ったほうね。
―――よろしい、及第点を差し上げましょう・・・。
マ:(うわぁ〜〜・・・ギリギリかよ―――)
ラ:(それにしても・・・何とか助かりましたわ―――
あの連中が生半可な攻撃を仕掛けて、あの方の機嫌を損なってくれたら、修復することすら難しいでしょうからね。)
〔その―――『翼を持ちたる者』に変貌を遂げた方は、至極ご満悦でした・・・
それというのも、普段のあの程度の攻撃では“落第点”だった―――にも拘らず、
そのときの状況においての相手方の必死と見られる抵抗と、この惑星においての科学の度合いをよろしく鑑みて採点をつけたところ、
どうやら満足に足るものだったようなのです。
けれども―――ジィルガの云った事の意味を、未だ理解しえていない者は・・・〕
ブ:ちょっと待て―――ナニが“及第点”なのだ!ふざけるな!!
私たちはあともう少しであいつらと心中するところだったのだぞ―――?!!
ジ:ンフフフ・・・・元気ねぇ〜〜♪ あなたも―――
でもね、もう決めちゃった事なのよ、悪いわね。
ブ:―――なんだって??
ジ:この人たちは―――これから私の艦で再教育を受けるの・・・
その危険な思想のみを排除し―――これから私たちの役に立ってもらうための・・・ねぇ。
マ:(あらぁ〜〜公言しちゃったよ・・・・)
ラ:(―――ま、ある意味あの足掻きがこうなっちゃったんだもの・・・仕方がないわよねぇ。)
〔IRAなるテロ組織がなければ、今回の父親の突然の不幸や、
もしかするとこの教会で、テロリストたちと毒ガス塗(まみ)れになっていたであろうブリジットは、
テロリストたちの行為を褒め称えているかのような、ジィルガの発言に甚(いた)く憤り非難をしたのです。
すると、ジィルガからはすぐに本心を述べるかのような言葉が―――・・・
それは、この場にいるテロリストたちを、自分の艦<ソレイユ>に連れ込んで再教育を施し、
危険なものだけを排除させて自分たちの事業に全面協力をさせる―――という・・・
しかし、このことは人権を無視しているかのようにも見えるのですが・・・〕