≪三節;“炎妖”vs“鉄の女”≫
〔そこで、“会”の仲間の発言に噛み付いて見せたブリジットに、カレンはこう訊いて見せたのです。〕
カ:では、ミセス―――
ブ:・・・“ミス”、まだ婚前だ・・・呼称を間違えるな。
カ:失礼、“ミス”ブリジット―――では、あなたならば、=J=なる者の存在を特定できるとでも?
ブ:フッ―――勿論。
わが国の第六課を動かせれば、造作もないことだ。
必要限の資料が整えられれば、一両日にでも挙げて見せよう。
カ:では―――もし挙げる事ができなかったら・・・?
ブ:(キッ――)やりもしないうちからそういう発言をされるといささか困る。
取り下げたまえ―――
カ:・・・それはできない―――
ブ:ナゼ―――
カ:あなたは・・・“必要限”の資料と云った・・・
けれども、この四人の言動から読み取れる事は、情報の不足という事だけ・・・
なのに、そんな自信がどこから―――?
ブ:・・・自信なら―――ある。
だが、もし挙げることが出来なければ―――・・・
カ:出来なければ―――?
ブ:この栄誉ある“会”から退こう。
それで文句はあるまい―――
〔そこには―――奇しくも二人の女性による、激しい舌戦が展開されていました。
カレンも―――諜報機関に属していたため、次第にその口調は尋問じみてき・・・
ブリジットも、彼女のあざ名の如く、“鉄の女”を髣髴とさせる強気の発言をなしていたのです。
互いの本音を探り当てるために、牽制の言葉もいくつかは出ました・・・
それでも、彼女たちはそう簡単には、深いところの事を吐露しなかったのです。
それにブリジットは、=J=なる者を特定できなかった場合、自分がヤルタの会より脱退する事を公言してしまったのです。
そのことに慌てた会の出席者たちは、何とか彼女に思い留まってもらおうと、宥(なだ)め説得するのですが、
『売られた喧嘩に買う喧嘩』と言い残し、会場を後にしたブリジット―――
ですが・・・そう、彼女は――――〕