≪三節;顧客の宇宙艦の内≫
〔それはそうと―――女禍に誘われて、彼女自身の持ち物であるという 宇宙艦 に来てみたブリジットは・・・〕
ブ:―――こ・・・ここが・・・あなた―――の?
女:ああ―――そうだよ・・・
ブ:なんだか―――まだ地球にいるみたいだ・・・
ラ:でも、これがこの方の持ち艦―――“シャンバラ”なんですよ、ブリジット。
それでもどこか違和感が?
ブ:えっ? あ・・・ああ―――
私が昔TVのシリーズで見ていた『スタートレック』や『スターウォーズ』などの、
“宇宙”を題材とした映像には、必ずといっていいほど近代的で、
鋼などよりも高度な金属を使用していた区画があるもの・・・と、ばかり思っていたのだが―――
(さらさらっ〜)・・・これは―――木材?
ラ:うふふふ・・・まあ―――確かに、金属を使用した艦も、あるにはありますけど・・・
艦自体の総重量や補修費がバカにはなりませんものねぇ。
女:うん―――そこへ行くと、宇宙樹は自らの傷も自分で修復できるし、燃費もそうかからない―――
でも、その代わり強力な火力は積み込めないようになってしまったんだけどね・・・
ラ:けれど、そうは云いましても、宇宙最強艦の三番手でもあるんですけれど・・・ね。
ブ:(宇宙最強の―――)三番手ぇ?!!
女:あっははは―――姉さんたちのに比べられると、さすがに敵わないよ。
何しろあの二つは、姉さんたちの超越した技術と、知識・理念とを掛け合わせて大成させたモノだからね。
そこへ行くと―――この艦は・・・今にも朽ち果てそうな軍艦を払い下げてもらって、
そこへこの私が幼い頃から育てていた宇宙樹“シゃクラディア”を根付かせたんだ・・・。
そのお陰で、備え付けられていた艦砲のほとんどを取り払ってしまってね―――
攻撃力は皆無に等しくなってしまったけれども・・・
ラ:けれども―――アーティファクト≪カレイド・クレスト≫と、宇宙樹≪シャクラディア≫のバックアップのお陰で、
防御力だけは群を抜いているんですけれどもね。
〔ブリジットは―――我が目を疑いました・・・
それというのも、彼女自身 宇宙艦 と云えば、幼い頃からよく見ていたTVシリーズモノや、映画の数々で描かれていた、
超近代的なそれ―――・・・だったはずなのに、
今、彼女が立っている場所は、そうではなく―――・・・まるでまだ地球にいるかのよう・・・
彼方には聳(そび)え立つ巨大な樹・・・足元には緑の芽吹く大地・・・澄んだ空気―――
耳を澄ませば、かすかに聞こえてくる小川のせせらぎ―――・・・
やもすれば―――ブリジットの故郷、英国にて余暇を過ごした保養地のような場所と見間違えてしまうような・・・
そのことに目を丸くしてしまったのです。
しかし―――女禍とラゼッタの会話を聞いていると、またも驚く事に・・・
こんな“自然”を艦内に設置しておきながらも、宇宙でも指折りの強さを誇るという事実―――・・・
でも、それをそうであると感じさせないのは、未だ眠れる獅子のままだから―――?
それとも・・・持ち主がおっとりとした性格の人だから―――?
それにしても―――・・・・
けれども、何一つ確証に迫れるモノがないので、その思考はそこで途絶えてしまった・・・
いえ―――正確には、止めざるを得なくなってしまったのです。
なぜならば―――・・・〕