≪四節;蒼く美しき天体≫

 

女:それより―――第一の目的でもある『地球』を見てみることとしよう。

 

>“カレイド”・・・“シャクラディア”・・・私たちにも見えるように、開けておくれ―――<

 

〔女禍の―――“命令”ではない、その指示の下・・・

その指示一つで艦長室の照明が落とされ、闇の帳が下りたかと思うと、次第に周囲(まわ)りが仄明るくなってきました・・・

するとブリジットは、まるで自分が宇宙を漂流しているような感覚に陥ったのです。

 

右手には銀河の星々を捉え―――いえ・・・右手だけではなく、前後上下左右、すべてが星海・・・・

 

すると―――前方に・・・ある物体が現れたのです・・・

 

しかし、それこそは―――・・・〕

 

 

ブ:あ・・・な―――なんだ・・・あれは・・・・

  あの―――・・・一つの生き物のように、『蒼』と『白』・・・それが交互に混ざり合わさって・・・

 

  ―――綺麗だ・・・

 

嗚呼・・・

 

なんて綺麗な・・・・

 

        

   

 

ラ:うふふふ―――・・・

女:ふふふっ―――・・・

 

 

〔ブリジットの目の前に、ひときわ強く―――そして蒼く輝く 球体 が目に飛び込んできたとき、

彼女は不覚にも感嘆の声を上げていました・・・。

 

けれど他の二人は、そんな彼女の姿を見るにつけ、ただにこやかに微笑んでいるだけ・・・

 

それに―――ブリジット自身、自分が直接視野に捉えている“蒼き球体”を、未だに気付きだにしませんでした・・・

 

だから、ラゼッタがそっと教えてあげたのです。〕

 

 

ラ:何を云っているんですか―――つい先ほどまで、あそこでお茶をし、私たちと語らいあい・・・

  そして―――何よりも、あなたという存在を今まで育(はぐく)んできてくれた処ではありませんか・・・

 

ブ:―――え? あ・・・そうか―――これが・・・『地球』・・・。

 

女:どうだい―――ブリジット・・・綺麗だろう・・・

  それに、どうして私が一瞬にして心を奪われてしまったか―――分かっただろう・・・

 

ブ:ええ―――・・・美しい・・・まるで、ガラス細工を見ているかのようです・・・

 

女:そう・・・だね―――こうやって、ただ見ていると・・・すぐにでも壊れてしまいそうな繊細なモノそのものだ・・・

 

  それにね―――ブリジット・・・私は、君がとても羨ましくもあるよ・・・

  こんな―――美しい環境の下で、生を育んできた・・・君たち地球人が―――・・・

 

 

〔しばらく―――ブリジットは言葉を失っていました・・・。

 

アレだけ飽きるほど、TVの画面で『地球は蒼い』と、知っておきながら、

いざ実物を見て“美しい・・・”ただそれだけで済ませてしまった―――

 

他所から来た人たちが、この美しさに心奪われ、そして自分にこの惑星の美しさを再認識させてくれた。

 

そして―――ブリジット自身、こうも思ったのです。

私は・・・この人たちに出会わなかったらば――― “地球は蒼かった・・・” ままで終わっていただろう・・・と。

 

そのことに深く感謝すると共に、ブリジット自身の価値観が、このときからガラリと変わってしまったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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