≪二節;贈り物≫
〔それとはまた別にて―――
このたび女禍の巡宙艦・シャクラディアと次元融合を果たした、トロイメア城では・・・〕
ブ:・・・これを―――私に?
女:うん、君には何かと世話になっているしね―――・・・
そのお礼を、こんな形でしか返せないのは、甚だ恥ずかしい事なんだけれども・・・
ブ:・・いえ―――その気持ちだけでも嬉しいですよ。
それにしても、こんなにも上等の生地を使った服を貰えるのだなんて・・・
ラ:うっふふふ――――・・・
ブ:―――どうしたのかな、ラゼッタ・・・笑ったりなんかして。
ラ:いえ―――別に・・・
それにしても、なんだか申し訳ありませんよね、女禍さん。
女:う・・・うん〜〜―――・・・
〔それは・・・ささやかな贈り物―――
このたび自分の事が議題に上がりそうになったとき、その人自ら率先してそのことを引き受けてくれたことや、
無理を云ってこの城を買い上げたときや、自分たちが地球上の人間たちではないと知っても、
何一つ変わるでもなかった態度などに感謝し―――
その気持ちと、もう何も知らないわけにも行かなくなった事で、この惑星初の協力者として・・・
そして、自分たちの組織の一員として、ブリジットを迎え入れるため、
女禍はブリジットにあるモノを贈呈したのです。
そのあるモノとは―――・・・特殊な生地を使用した衣服・・・
と、云うより、女禍がいつも着用している、あの薄紫色の服なのでした。
でも、その服の所以を知っているラゼッタは、少し笑ってしまったのです―――・・・
それというのも―――〕
ラ:だって―――その服は、この方がここ二・三周期着用していたモノ・・・つまり、“お古”なんですもの。
ブ:フ〜ン・・・二・三周期・・・
ラ:とは云っても、私たちの云う一周期は 1,000年 なんですけどもね。
ブ:・・・ぇえ〜〜っ?! ―――と、いうことは・・・2・3,000年モノ??
女:いやぁ〜〜・・・申し訳ない―――(照赤)
今は取り立ててこれしかあげられるものがなくて・・・
〔それは、云ってしまえは“お古”“お下がり”―――・・・
だから女禍は、どこかバツの悪そうな表情をしたり、照れて赤くなったりしたのです。
それに―――よく目を凝らして見れば、繊維がほつれたりしたところもちらほら・・・
けれども、それは前の持ち主である女禍が、こんなになるまで大事に使用していた証でもあったのです。
しかし―――このときラゼッタが笑っていたのも、実はそのことが理由・・・なのではなく、
もっと深いところを理解していたうえでの、いわゆる“含み笑い”のようなもの―――
だから・・・なのでしょうか―――〕
ブ:・・・いえ、そうであってもとても嬉しくありますよ。
長年愛用していたものを、それも私に下さるとは―――・・・
女:ブリジット―――・・・
ブ:それに・・・(フフ――)
長年愛用していたモノを親しい者に贈る―――と、いうのは、
我が英国でもそう珍しい事ではありませんし、むしろありがたく頂戴いたしますよ。
〔そう・・・ラゼッタには、どこか判っていた事でした。
その人が―――“古い”だとか・・・“中古”だったり・・・とかで拒絶する人ではなく、
いや、むしろ喜んで受け取ってくれるだろうという事を・・・
だから―――だったのかもしれません・・・
これから、彼女たち二人がたどるという・・・“運命”も、強ち―――・・・〕