≪四節;ヱニグマ≫
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――その女性は・・・誰しもが認める“美麗”な存在であるという・・・――
――その女性は・・・まこと慎ましやかなる、淑やかな存在だという・・・――
――その女性こそは・・・“成熟”――
――その女性こそは・・・“妖艶”――
――その女性こそは・・・“堕落”――
そして・・・その女性を形容するのに、それらよりも、尤(もっと)も相応(ふさわ)しい言葉―――
で、あり、その女性自身の名―――
=純然たる悪意を持つ、誰でもない者=
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ヱ ニ グ マ
その女が―――今・・・冥(くら)き宇宙(ソラ)の向こうで、
掌(たなごころ)に何かを弄(もてあそ)びながら、こう嘯(うそぶ)く―――・・・
――この世の総ては・・・わたくしのためにある――
――それを・・・このわたくしがどう取り扱おうが――
――構わぬ事だ・・・――
その―――宙外(そと)にある冥(くら)き空間と同じものをココロに宿し・・・
その―――美貌とはかけ離れた、いやらしくも妖しい笑みを露わにした女は・・・
今まで弄(もてあそ)んでいたモノを、掌(たなごころ)から床上に放り投げた・・・
それは―――“生き物の魂”?
それは―――今まで女が獲得してきた“慾望”??
それとも―――・・・?
でも、たった一つ判っていた事・・・
それは、女の紅の眸に映し出されてしたのは、今まで―――の“過去”のものではなく・・・
これからある“未来”のこと―――・・・
今度は・・・どんな無駄な抵抗をして、わたくしを愉しませてくれるのでしょう・・・
それこそが―――この女の、至上の愉しみであったことは、疑いようもない事実・・・
そんな存在を、これから相手にしなくてはならなくなったとき―――果たして女禍はどうするのでしょうか・・・〕