≪三節;師の賭け≫
〔そして、彼女は彼からそのことを聞き出し―――〕
ラ:>ええっ―――??<
マ:>ショック・・・か、だろうな―――ボクでさえも、この事実を知ったとき、さすがに穏やかじゃなかったよ・・・。<
ラ:>・・・そう、わざわざ知らせてくれて―――ありがと・・・<
マ:>・・・ラゼッタ―――<
ラ:>・・・うん、このまま―――しばらくこのまま、こうしてていいから・・・
せめてものお礼よ―――<
マ:>・・・・。<
フフっ―――いや、やめとくよ・・・どうやら感づかれたらしい。
ラ:(え・・・?)あっ―――!
ジ:ちょっとぉぉ~~? 私が女禍ちゃんに会えないでいるときに、二人していちゃついてくれちゃってぇ~~・・・
あ゛あ゛~~そうですかい!#
ラ:ジィルガ様―――・・・(あはは~~・・)
ジ:あ~あ~――! お熱いこって!
なぁんかバカらしくなっちゃったから、か~えろ~~!
ラ:あ゛・・・うぅ~~―――(罪悪感)
マ:あ~あ・・・ヤレヤレ―――どうやらお師様に一杯食わされたらしいや・・・
ボクが我慢できなくなって、君に総てを話しちゃう―――ってことを・・・ね。
わりぃ―――だったらもっと早くにそうするべきだったよ・・・
ラ:そう・・・そうね―――だったら、ジィルガ様には、委細承知した・・・って伝えておいて。
〔ラゼッタは、その真実を聞き―――身体の芯から震えが止まりませんでした・・・。
この・・・美しい惑星に目をつけ、それを喰い物にしようとする存在―――
そんな者達が、期せずして・・・足音を殺しながら背後に忍び寄っている―――と、云う事を・・・
確かに、こんな重要な真実を、女禍だったならばまだしも、シャンバラの乗組員だったらば―――?
そこは推して知るべしだったことでしょう。
それはそうと、ジィルガとマグラは―――・・・〕
ジ:全く・・・お陰で余計な時間を潰しちゃったわ―――
マ:・・・申し訳ありません―――
ジ:もうちょっとさぁ~~―――私の気持ちというのも、汲んでいいものとは思わない?(くどくど・・・)
マ:(あ~あ・・・始まったよ―――長いんだもんなぁ、お師様のお説教・・・)
〔帰り途(みち)の道中―――どうしてマグラが、ラゼッタにだけ、早い段階で真実を告げてやらなかったのか・・・
そのことを、少し皮肉を交えた上で、ジィルガは説教を開始したのですが。
―――と、そうかと思えば、一変して・・・〕
ジ:―――それより、あの子はどう云っていたの。
マ:(!!)・・・はい、委細承知した―――と・・・
ジ:そう・・・。
まあ―――相手があの“未亡人”たちだから、あの子も油断する事はないとは思いたいけど・・・
念には念を―――ね・・・。
マ:(・・・珍しくお師様が迷っている?!!)
ジ:・・・ところで、マグラはあの子のことを、どう思っているの―――
マ:・・・ラゼッタのことですか―――いい・・・
ジ:“同志”だと思っているのね。
判ったわ・・・それじゃ、“もし万が一”のことがあったら、 アレ を開放してもかまわないから―――
マ:・・・ありがとうございます―――レーラァ。
〔残りの時間は余り残されていない・・・それゆえに、妹が開いている事業所に、足繁く通いつめ―――
とある事・・・<ブラック・ウィドウ>たちの情報を知らせようとした・・・
なのに―――不遇な事に、妹は 巡察 に出かけており、自分たちは二週間という無駄な時間を費やしてしまった・・・
いや―――最早ここは博打に近い行為・・・
いつ、自分の弟子が、痺れを切らして、弟子と存在が近しい者に、
ディープスロート(情報の漏洩)をしてくれるものか・・・と、思っていた―――
ただ、そのことのためだけに、ここに足を運んでいた―――というわけなのです。〕