<第十八章;復讐の“炎妖”>
≪一節;“星にストライプ”の残党≫
〔其の女の―――美貌と言動は不適合・・・
悩ましげなる美艶なる容貌を持ち合わせながらも、
吐く言葉の数々は、ドス黒い“負”の何者でもなかったのです。
そして―――其の女と、女の部下らしき者が、トロイメア城に入ってきたのをきっかけに、
最早この城と同じくの存在と云っても過言ではない<シャクラディア>は、
すぐさまこの者達の“闇”を感じ取り、持ち主の同志である者に 警告 を促し、
追い払わせる事に成功していたのです。
こうして、彼らとのファースト・コンタクトは、ブリジットが一方的に拒んだ事で、
その話し自体も自然消滅―――するもの・・・と、思われていたのですが。
正面きってからの交渉が無駄なことだとわかると、その者達はすぐにそこから手を引き・・・
ですが―――同時にブリジットたちが思いも寄らない方向から、
大胆なるアプローチを仕掛けてくるのです。
それはそれとして―――
何も、シャクラディア商会に目をつけている者も、例の ソーリアム だけではなく・・・〕
職:あの―――スターシア様・・・
ラ:―――どうしたの。
職:ちょっと見ていただきたいものが・・・
ラ:判ったわ、すぐ行くから少し待ってて―――・・・
〔シャクラディア商会の警備担当の職員が、ラゼッタに至急警備室に来て欲しいとの要請に、
素直に応じるラゼッタ・・・
そこで彼女が眼にしたものとは―――・・・〕
ラ:・・・なぁに?この人たち―――仮面舞踏会でも開くのでもないのに・・・
職:おそらく―――この惑星の諜報を生業としている者達か・・・と。
ラ:こんな目立つ格好で諜報を?? あきれた―――まるで漫画ね。
職:ですが―――この惑星の科学の度合いからすると、これで最新のものなのでは・・・
それに、肩にあるシンボルマークも―――
ラ:“星にストライプ”―――自滅した国・・・なるほど、その残党のようね。
判ったわ、来賓ならば手厚くお茶でもお出ししないとね・・・。
無論―――出されるお茶は渋めで苦いものになりますけど。(クス)
〔警備室のモニターには、闇夜に乗じて行動しやすいような暗視ゴーグルを装備し、
身体にもそれに順応した黒の全身タイツを着込んだ者達が、
このトロイメア城にどのようにして潜入しようか―――と、伺っている姿が、有り有りと映し出されていました。
しかも・・・そのユニフォームの肩部には、“自滅”と云っても過言ではない滅び方をした、
超大国 米 の国旗を掲げた者達・・・
しかし、ラゼッタはこの連中の装備を見て、まるで仮面舞踏会にでも出るようだ・・・と、揶揄したのです。
それに、この珍客に対しておもてなしをするようですが―――
それが“渋くて苦いもの”とは・・・どうやらあまりよくない歓待だったようです。〕