≪二節:“炎妖”の意地≫
〔一方のこちら―――米の残党組を統括している、カレンは・・・〕
カ:ふうむ・・・どうやらこれと云って、目立つような警備システムは設置していないようだな・・・。
これではこちらに“どうぞお入りになってください”と云っているようなものだ。
ならば、お伺いしなくてはなるまい―――
いいか、A班は北の裏門より侵入、お飾り程度のセンサーを黙らせてやれ。
続いてB班、お前達はA班が警備システムを黙らせたあと邸内に侵入―――
鉄の女の鼻を明かせてやれ。
最後に―――C班は、この私と共に制圧された邸内に入る。
フフフ・・・さあ―――皆であの鉄の女を、鼻で嘲(あざ)笑ってやろうではないか・・・
〔カレンたちは―――元々人知れぬところで暗躍をする諜報員・・・
その存在が知られてはいても、彼らの死は語られる事は無い・・・
それゆえに、“影の軍団”と、呼ばれることもあったのです。
―――が・・・
惜しむらくは、カレンたちは敵の内情を、余りに知らなさ過ぎました。
トロイメア城は、侵入しやすい―――と、云った観点も、いわば自分たちの勝手な解釈の下で・・・
そういったことには、是非も無かった事でしょう。
さて―――それでも彼女達は、イントルーダーの作戦を組み立て、実行へ・・・と、移したのですが―――〕
A:<A班―――システムを黙らせました、どうぞ・・・>
カ:<よし・・・では、状況を開始せよ―――>
B:<了解―――これより状況を開始する。>
カ:(フフ・・・実にあっけない、モノの数分で片がつきそうだ・・・な。)
――するとそのとき――
ラ:・・・こんな夜更けに、何の用なのかな。
カ:(ナニ―――?)・・・なんだ、お前は?!!
ラ:・・・お前の国では、他人の質問には質問で返すのが慣わしなのか?
―――まあ、そんな国だから“自滅”したのだろうが・・・な。
カ:な・・・にぃ―――?!!
ラ:それに・・・訪問するなら、ちゃんとしたアポイントメントは取っているのだろうな。
それとも、そうでないというのならば―――賓客用に出す茶は、渋くて苦いものになるぞ・・・。
〔そこにいたのは―――本隊であるC班の、それも大将格であるカレンの背後に現れた・・・ラゼッタなのでした。
しかも、その時には、あのハイランダー特有のプロテクターを装備しており、
一種異様ならぬ雰囲気を醸し出していました・・・。
それを見るなり、カレンは・・・何か、自分の目の前では、非現実的な事が起こっているのではないか―――と、錯覚しましたが・・・
けれど、これは“非現実”―――ではなく、“現実”そのもの・・・
それに、丸腰の相手から“おもてなし”の言葉を受けようとは・・・
そんな―――明らかに場違いな言葉に、思わずカレンは・・・〕