≪四節;退屈すぎる遊び相手≫
A:・・・誰もいないようだな―――
B:ああ・・・だが、偵察のやつらの云うには、
ここには、常時百余名の職員が従事して―――
――するとその時――
誰:おぉや―――これは深夜のご訪問かい?
でも、もうここの営業時間は、とっくに過ぎてるんだけどもねぇ・・・
A:な―――なんだキサマ・・・
B:それにしてもいつの間に―――・・・
誰:おやおや―――思った以上に退屈な反応だね。
しかも、その様子じゃ、君たちは個別の名前すら与えられていない、モブ以下の存在のようだ・・・
では、代わりにボクのほうから名乗り出るとしよう。
マ:ボクは・・・エルムドア=マグラ=ヴァルドノフスク―――
以後、お見知りおきを・・・イントルーダーたち。
〔邸内進入組の、背後に現れた存在こそ、マグラ―――
いや、本編を知る人たちなら、この彼の本名を知り、さぞかし驚いたに違いありませんでしょう。
そう―――この彼こそは、100万の悠久の年月を生き、
後に“不死の王”<リアル・アンデッド> “最初の真祖”<ファースト・ジェネレーション>
として畏れられた、エルムドア大公爵その人だったのです。
しかし、そのことは現在の時間軸より、遥か未来での事―――
だとて、普通の地球人である彼らには、不死身のヴァンパイアは“天敵”のようなもの・・・〕
A:く・・・そぉっ―――! 撃て・・・撃ちまくれ~!!
ヴズズズズ―――・・・
マ:フ・・・ン―――またそれかい? 退屈に過ぎるのも、程というものがあるよね。
そんなモノなど、ボク達には通用しない事が判ってる・・・ってのに―――
A:な・・・んだ―――これは・・・た、弾が・・・
B:あいつの―――身体をすり抜けていきやがった・・・
マ:フフッ・・・でも、まあ―――折角きてくれたことだし、こちらからも“お返し”をしないと、失礼に当たるというものだよ・・・ね。
ああ―――そうだ・・・いいことを思いついたよ・・・
A:し―――しかし・・こいつは厄介な事になってきたぞ・・・
B:ああ、ここはひとまづチーフのところまで・・・
マ:まあ、待ちたまえよ・・・君たちには少し付き合ってもらうことにしてもらうよ。
どの道、君たちには選択肢は用意されていない。
それに・・・先生から教わった これ を試すのに、絶好の機会だから・・・ねえ。
A:くうぅっ―――・・・撤収~~!!
〔消音機付きの自動小銃で、マグラに一斉砲火を浴びせるものの、
一体彼の身体はナニで構成されているのか・・・
そんな疑問が浮かび上がるような、そんな現状を、今、彼らは目の当たりにしていました。
そう―――総ての弾丸は、マグラの身体をすり抜け・・・
つまるところ、ダメージは一切受けていない・・・
しかも、彼は不敵にもこう述べたのです。
――こちらから“お返し”をしないと、失礼に当たる――
こんな・・・銃という武器が一切通用しない者が―――これから“お返し”を・・・?
そのことに、このままここにいては危険だと判断した、AとBの班長は、
すぐさまここから全員離脱するよう指示をしたのです・・・〕