≪五節;ナイト・メア≫
〔―――が・・・
その時には、もう総てが遅かったのです。
なぜならば―――〕
――すたっ――
A:あ・・・ああっ?! な・・・なぜ―――我々は窓から出たはずなのに・・・
B:そ・・・そうだ―――それが・・・どうしてまだ邸内に・・・いる??
〔彼らは・・・我が目を疑うしかありませんでした―――
それというのも、このトロイメア城内から離脱するべく、近くの窓を破って外に出た―――・・・
はずなのに―――
彼らはまた城内へと侵入してしまっていたのです。
これは・・・一種の幻覚―――?
イリュージョンにでも陥ってしまったのか・・・と、思えなくもなかったのですが。
ナニを隠そう、それこそは・・・イリュージョンよりも―――
いや、イリュージョンだったならば、どれほど まし だったかとさえ思わされる・・・〕
―― どろり〜 ――
A:う・・・うわぁあ〜〜っ!!? なんだぁっ?!お・・・オレの腕が・・・腐って―――
A:ぁああ〜〜〜!! お・・・オレは脚のほうがああぁ・・・・
B:う・・・うわあああ―――っ!! こ・・・こっちに来るなぁぁ〜〜!!あっちへ行けえぇ〜〜!!
B:ぎゃあぁぁ―――・・・う・・・腕を喰いちぎられたあぁぁ・・・
〔彼らは―――今、自分たちの身に起こっていることに、阿鼻叫喚をしていました。
ある者達は、自分の身体の一部が腐敗し・・・腐り落ちていき―――
またある者達は、見知らぬ獰猛な獣に襲われたり―――・・・
しかも、それらは次第にエスカレートしていき、次々と彼らに襲い掛かって行った―――
そう・・・まるで―――
ナイト・メア
= 悪 夢 =
―――のように・・・〕
マ:フフフフ――――どうかな、気に入ってくれたかな?
これがボクの操る魔術式の一つ・・・<裏面・捌拾参式・ナイトメア>だよ。
もうこれに懲りたら、ここにはちょっかいをかけないこと―――だね。