<第二章;メグリアイ・・・>
≪一節;女性と少年≫
〔彼女が―――唯一運がなかったことは、紛争地域に足を踏み入れ、
己れの身を立証するものが何一つとしてなかったこと・・・。
それを、向こう側のいいようにとられ―――とうとう世界最悪の大国の諜報機関員の一人として、捕らえられてしまい
このゲリラ組織・・・『紅いジハド』のテントに勾留されていたのです。
しかし―――同時に運があったことといえば、この組織のテントの内にいた・・・と、いうこと。
そう・・・そこで彼女は、とある運命的な出会いを、果たす事になるのだから―――・・・。〕
女:ふう〜〜・・・。
(どうやら―――私は、この惑星(ほし)にある、どこかの国のスパイに間違われているようだ・・・。
フフ―――・・・それにしても、“スパイ”か・・・悪くはないものだ・・・。
彼らのようになるには、もう少し勤勉にならないと―――ね。)(クス)
カタン≧
女:(ぅん?)・・・・・誰か―――そこにいるのかい?
少:えっ―――!? う・・・っ・・・(ぷるぷる)
女:(少年??)・・・・ボク? 私に―――何か用?
少:うっ―――・・・ぅぅ・・・(ぷるぷる)
老:・・・あっ―――!アベル! そこにいたのかい?
ア:(アベル=アドラレメク;10歳;男;少年―――ではあるが、
女禍はこの少年と出会ってしまったことで、ある転機を迎えることとなる)
お・・・オバアぢゃ〜ん゛・・・(えぐえぐ)
老:ああ―――良かった・・・急に見えなくなるから、はぐれてしまったかと思ったよ・・・。
女:――――その子・・・アベルというのですか?
老:―――あなたは・・・?
女:ああ・・・申し遅れました、私の名は―――女禍。
女禍という者です。
旅の途中に紛争地帯に足を踏み入れてしまって・・・それであなた方の管理官に疑われて、
ここにこうして身柄を拘束されているんです。
老:あの子が―――・・・そうかい、あの子もああなるまでは、素直でいい子だったのにねぇ・・・。
許しておくれ、私たちの仕打ちを。
女:(・・・中には―――話しの分かる人もいるんだ・・・)
いえ―――それは別にかまいません。
それより―――ここは高度な文明が発達しているのに、争いが絶えないように見えるのは、どうしてなので・・・?
老:――――・・・それはねぇ・・・
ア:おばあちゃん!!
老:いいんだよ・・・アベル。
どうやらこの女(ひと)には、総てをお話ししても良さそうだ―――・・・
〔そこであったのは、少年―――アベル・・・。
でも、この少年は、そのテントに女禍がいるのを知って―――・・・と、いう風ではないらしく、
たまたま・・・偶然・・・そのテントに入ってみれば、見知らぬ女性に声を掛けられてしまい、
少しばかりぐずってしまったようなのです。
―――と、そんなところに、途中ではぐれてしまった、この少年を探していたらしい・・・
少年のおばあさんと出会い、そこで少しばかりの邂逅があった様子。
そして―――こんなゲリラ組織の中でも、話の解かる人もいるのだ・・・と、思った女禍は、
もう少し込み入った話を聞こうとしたようです。
すると、この老体の口からは・・・〕