≪五節;運命の刻―――ゲリラ掃討作戦≫
〔それからというものは―――食事も滞りなく終わり、就寝するために、自分たちのテントに戻っていったあと・・・
その一方での、ゲリラ組織の長のいるテント――――では・・・〕
兵:司令―――あの女の身につけていた、ボロの布地の事なんですが・・・
モ:・・・・どうしたのだ―――
兵:・・・それが――― 一見カーボン・ファイバーにも似ているんですが・・・
素材としてはそれよりも軽く、また強度としても米軍の使用しているものよりも、優れていまして・・・
モ:なんだと―――!?
では・・・やはりあの女は―――
兵:それに―――これも見てください。
モ:ぅん?――――なんだ、これは。
兵:おそらく・・・発信機のようなものではないか―――と・・
モ:なんだと―――!すると、やはり・・・!!
〔あの時・・・自分が勾留した者が羽織っていた“ただの布切れ”は―――
実は、その時代の軍隊で使用されている、どの素材よりもはるかに高性能であり・・・
また、その布に付けられていた“留め具”が、精巧な発信機の類である事を知り、
モハメドは、いよいよもって女禍の事を、自分たちの大敵であるところの手先と、思うようになりだしたのです。
すると―――それを示唆するか・・・の、ように―――〕
α:こちら―――アルファ班、位置につきました・・・どうぞ―――
β:こちらベータ班―――同じく・・・
θ:こちらシータ班―――いつでもよろしいですよ・・・
フ:(ファーガソン;この部隊・・・肩章に『星条旗』を掲げる部隊(デルタ・フォース)を統括する隊長)
―――よしっ!では・・・状況を開始せよ!!
ドォ――――ン・・・
パン パン パパパン・・・ タタタ―――・・・
モ:なにっ―――!? どうした!!
兵:た、大変です!! な・・・ナニ者かが、我々のキャンプを襲撃中です!!
モ:なんだと―――??
くっそぉう・・・あの女スパイめ~~~―――やはりそうだったか!!
オレはヤツをぶち殺しに行く! お前達は各自で侵入者を排除しろ!!
〔いよいよ持って、モハメドが女禍をスパイだ―――・・・と、確信する中、まさにこのタイミングで、
このゲリラのキャンプ地が何者かに襲われた・・・。
この決定的な証拠を抑えられては、さすがの女スパイも言い逃れは出来まい―――
そう思い、彼はこれから女禍を始末するために、彼女を勾留しているテントへと向かったのです。〕