<第二十章;愛と憎しみの間(はざま)に>
≪一節;“未亡人”たちの価値観≫
〔かの―――ビューネイ某という者から譲り受けたモノは、
現実として、今までのこの惑星にはない意匠があしらわれていました。
そのうえ、今まで自分たちが身につけていたジャケット類の様にかさばる事もなく、
実にタイトで軽やか―――しかも、開発目前だったある技術・・・
<光学迷彩>が、自分たちの技術よりも、遥かに完成度が高かった・・・
そのことに、カレンは、過去に敵対・争い合ったこともある、ロシアのKGBの後ろ盾か・・・
―――と、怪しんだのですが、今はそのことよりもむしろ、
これでラゼッタ某に一矢報いる事ができるものだ・・・と、手放しで喜んでいたのです。
その様子を見ていた、他のウィドウ構成員達は・・・〕
黒:ビューネイ様・・・よろしかったのでしょうか、
あの者にあんなモノを払い下げをして・・・・
ビ:フッ―――なに、構わんよ。
アレは100周期前のモノだ、それに在庫の処分に困っていたところだったが、
彼女がアレのモニタになってくれるのであれば、この惑星での流用も考えねばなぁ・・・
黒:おお―――なるほど・・・確かに中古とは云えど、せっかく資金を投じて開発したものですからなぁ。
みすみす処分などしてしまっては勿体のない話。
では〜〜―――早速、一万着ばかり確保をしておきましょうか・・・
ビ:ふむ・・・それにしても―――
黒:はあ、なにか―――・・・
ビ:いや、なんでもない―――
(あの女性・・・何者かに激しいまでの対抗心・・・いや、恨みというべきか―――を、抱いていたような・・・
まさか―――な・・・)
〔そう―――このほど、ビューネイがカレンに手渡したのは、“中古”というには過ぎる、
100周期(1周期=1000年)も前の、バトル・スーツだったというのです。
しかし―――そんなものでも、現存する地球のどの技術よりも優れており、また目新しさというのもあったのです。
それに、彼らとしては、せっかく運用資金を投じて開発したものを、みすみす処分する気もなかったらしく、
カレンをモニタとして、これを欲しがる連中に、高値で売りつける気でいたようなのです。
一方その裏で・・・ビューネイは、この惑星には、既にどこか他の者が降り立ってきているのでは・・・
と、感じているようですが―――・・・〕